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osmosis

こんばんは!
連休ですね。

… 今、「れんきゅう」と打ったら「蓮急」と変換されました(<-まじで)
漢字変換の学習、どんだけ。

連休中、更新難しいやも、しれません…
では、昨日に引き続き思い付きネタ、どぞ。





蓮がその日の仕事を終え、マネージャーの社を送り届けて自宅に帰りついたのは、23時を過ぎた頃だった。

なんとか日が変わる前に帰れたな…

上着をソファの背もたれに無造作にかけ、自分も腰を下ろして深く息をつく。
ここのところ連日ほとんどすき間もなく仕事が入っていたため、さすがの蓮も軽い疲労を覚えていた。夕食は(つまむ程度であるが)撮影現場で出た弁当で済ませたし、シャワーでも浴びて寝てしまおう、と立ち上がったところで、愛しい少女の言葉が思い出される。

「毎日シャワーだけじゃなくて、たまにはお湯に浸かった方が疲れが取れますよ!体の疲れには熱めのお湯にさっと、精神的な疲れにはぬるめのお湯にゆっくりと、が基本です!」

ソファから立ったままの姿勢で十秒ほど考えた蓮は、浴槽に熱めの湯を張り、短めの入浴を済ませると日が変わるころにはベッドに滑り込んだのだった。


翌日は蓮のスケジュールはめずらしく空いていた。有能なマネージャーがずらせる仕事はずらして、この日を休息日として設定してくれたらしい。午後から事務所での打ち合わせと雑誌取材が入ってはいたが、午前中はオフで午後の仕事の終わりも早い。

それでも普段どおりの時間に起きだした蓮は、コーヒーでも飲もうかとキッチンに入った。戸棚を開けると、シリアルの箱が目に入る。

「忙しくても食欲がない時でも、朝は何かお腹に入れたほうがいいんですよ。空っぽの胃にブラックコーヒーじゃ荒れてしまいます。これ、日持ちもしますし、戸棚に入れておきますね」

そういえば最上さんが前回食事を作りに来てくれた時に、心配して買ってきてくれたんだっけ…

蓮は箱を手に取りながらその時の少女の表情を思い出して思わず笑みをこぼした。

シリアルに牛乳をかけただけの手軽な朝食を終えると、蓮はコーヒーカップを手にソファに腰を下ろした。何気なくテレビの電源を入れると、午前の情報番組が流れる。女性の間で愛好者が多いという、毛糸で作られたぬいぐるみが紹介されていた。色とりどりの毛糸で編まれたぬいぐるみは丸っこくて愛きょうのある形だ。

ふふ、最上さんならこういうのも器用に作ってしまいそうだな。いや、もう作ってたりして。


昼過ぎに蓮は事務所へと到着した。
打ち合わせのため俳優セクションに向かうと、事務所で合流した社とともに打ち合わせスペースへと入る。蓮はちらりと壁の時計を見上げた。

この時間だと…

考えかけたところで社の声に思考が中断された。
「どうした?あ、まさかお前、キョーコちゃんが今何してるかなんて考えたんじゃないだろうな」

鋭すぎる社の推測に蓮は真顔のまま3秒ほど制止した。

「社さんは何でもかんでもそこに結び付けすぎですよ」
わざとらしくため息を吐きながら呆れ顔を作ってみせるが、社は全く動じなかった。
「ふぅ~~ん。他にほのかな笑顔を浮かべながら時計を見上げる理由があるなら俺が知りたいくらいだけどな」

そのまま会話を切り上げ、ちょうど顔を見せた松島に話しかけた社に対して蓮は何か言いたそうにしていたが、諦めてそのまま打ち合わせに参加した。

言われてみれば、今日は何回彼女のことを思い出したんだろう?
その都度ほんのり幸せな気分になってしまうのだから、多少顔に出るのも仕方ないかもしれない。人前では自重しよう、と心の中でこっそり蓮は誓った。


雑誌の取材を終えて応接室を出ると、タイミングを計ったように制服姿のキョーコがこちらにやってくる。

「敦賀さん、社さん、おはようございます!」
花の咲くような笑顔で挨拶をされて、先ほどの誓いが簡単に破れそうだ。蓮もまた、笑顔で挨拶を返した。
「おはよう、最上さん。今日は学校だったの?」
「はい!行かれる時に行っておかないと、どうしても欠席が増えてしまいますから!」
キョーコは制服を着た自分の体を見下ろすと、はきはきと返事をした。

「キョーコちゃーん。今日この後は予定あるかな?」
早速社がキョーコに喜々として話しかける。
「いえ、今日は少し椹さんとお話しただけなので、これで終わりです」
「じゃあさあ、悪いんだけど、蓮に食事させてくれるかな?」
「えっ?敦賀さん、また食べてないんですか?」
「今日は珍しく朝から昼過ぎまでオフだったんだ。多分、コーヒーくらいしか口にしてないんじゃないかな」

「敦賀さん!」
社の言葉を受けて、キョーコが少し怒った顔で蓮に向き直る。
「いや、最上さん。今日はちゃんと食べたよ」
「何を、いつ、召し上がったんですか?」
「朝、君が置いて行ってくれたシリアルを食べたよ」
キョーコはきょとんとした顔になった。
「空腹にブラックコーヒーはよくないって言ってたじゃないか。だからちゃんとお腹に入れたよ」
「ほんとですか?ちゃんと、聞いててくださってたんですね!」
キョーコは嬉しそうに言うと、蓮の家での夕食作りを快諾した。


辿り着いた蓮の部屋で、早速作りますから、お待ちください!とキョーコがパタパタとキッチンへ向かう。
その後ろ姿を見つめながら、蓮はそっと思った。

俺の行動や思考は、いつの間にこれほど最上さんに影響されてたんだろう…?
君は、気がつかない内に俺の中にじわじわ浸透してきているのか。
いっそのこと、俺の生活にももっと入り込んできてくれればいいのにな。


それから、自分もキョーコの意識へと浸透すべく、会話を求めていそいそとキョーコの後を追ってキッチンへ向かうのだった。

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