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雨降って… 【リクエスト】

お待たせしましたー。
美音様のリクエスト、やっとできました。
リクエストはこの通り。

『成立後で、お付き合い始また頃 蓮様のご両親ヒズリ夫妻に蓮様と年の離れた妹が誕生し、夫婦で来日してLMEに挨拶に来ている時に蓮様が妹をあやしている。出自を知らない周りの人間たちが 蓮様の隠し子の噂をしていてキョコちゃんがヤキモチを焼いてしまう。ちなみに、妹ちゃんはマスコミにもバレていないので社長とごく一部の人間しか存在が知れていなかった。』

うおお!妹!!!となりましたが、展開に悩み、やや話を変えております。
美音様、こんな感じでいかがでしょう~。もらってやっていただけるとありがたいです。

それにしても、いつにもまして長い!携帯でもちゃんと見えるでしょうか…




「おはようございます!」
LME事務所の廊下に元気な声が響き渡る。
ミニのワンピースで足取りも軽く、すれ違う社員に挨拶をしているのはタレントで女優の京子こと最上キョーコ。19歳になって、変幻自在の変身ぶりに最近色気まで加わってきたと評判の彼女は、バラエティにドラマにと引っ張りだこだ。

この日はタレント部での主任との打ち合わせのため、忙しい仕事の合間をぬって事務所へと顔を出していた。しかし、弾むような足取りには大っぴらに出来ない理由があったのだ。


最上キョーコはつい最近、事務所の先輩である敦賀蓮といわゆる『お付き合い』を始めたばかりであった。高校卒業までギリギリ保たれていた蓮の理性はキョーコの卒業とともに崩壊。怒とうのアプローチにキョーコが押し流された形だったが、蓮に淡い恋心を抱いていたキョーコが折れたのは当然といえば当然だろう。最初は怖気づいていたキョーコも、蓮の愛情表現に段々と幸せを感じるようになっていた。
しかし、キョーコたっての希望で二人の交際はトップシークレット。社や奏江、社長のローリィと主任など、最低限の少数の人間がその事実を知るのみだ。

今日、キョーコが事務所を訪れる事は前日夜に急に決まったため、蓮にも伝えていなかった。

うふふ・・・敦賀さんも事務所にいるって聞いちゃったんだもんね~
急に顔見せて驚かせちゃおうっと!

キョーコが可愛いイタズラ心を抱いたのも、責められることではなかっただろう。

キョーコが軽くスキップなどをしながら俳優セクションの近くに差し掛かると、なぜか1つの扉の前に人だかりが出来ている。そこにいる社員やLME所属芸能人たちは、扉の内側の様子をこっそり伺いながら、ひそひそと噂話をしているようだ。

キョーコは見知った社員の顔を認めて声をかけた。
「皆さん、どうされたんですか?」
「わっ。びっくりした。キョーコちゃんか」
「会議室にどなたかいらしてるんですか?」
誰か来ているにしても、扉の外でこそこそはあまりに行儀が悪い気もするのだが。

「あ、いや、そういう訳でもないんだけど・・・」
社員の歯切れは悪い。すると、横にいた別の女性がキョーコを認めて声をかけてきた。
「ねえ、キョーコちゃんって敦賀君と仲いいわよね?」
「はっ?は、まあ、後輩として面倒を見ていただいております」
一瞬どきりとするが、無難な受け答えをしてみるキョーコ。内心そっと冷や汗をぬぐう。
「あーでも、知る訳ないか・・・」
「敦賀さんが、どうかされたんですか?」

女性は一瞬躊躇ったが、キョーコを伺うように口を開いた。
「んん、私たちも良く分からないんだけど・・・」

今現在会議室の中には蓮とマネージャーの社がいるらしい。が、二人だけではなく、そこに一緒に、赤ちゃんがいるというのだ。女性によると、金髪碧眼のそれはそれは可愛らしい赤ちゃんを抱いた女性が一直線に蓮に近づき、早口の英語で言葉を交わしたと思うと、そのまま赤ちゃんを蓮に渡して去っていったのだという。

「じょ、女性ですか・・・?」
「ええ。大きいサングラスをかけていたので顔が良く分からなかったけど、すらりとした長身の金髪の女性だったの。英語だったし、明らかに外国の方だったわ」
「そ、その方というのは・・・」
「敦賀君も驚いてはいたけど顔見知りっぽかったから、・・・やっぱり恋人、かしら?」
「こ、恋人?」
「それで、その赤ちゃんが敦賀君の隠し子なんじゃないかって今みんなで言ってたの」
「隠し子ぉ??」
「うん・・・赤ちゃんを素直に受け取って、それはそれは優しい笑顔であやしてたからねえ」
あんなとろけるような敦賀君の笑顔、見たことないわぁ、と女性は思い出して少し興奮しているようだ。

ふと女性が気がつくと、キョーコの全身から禍々しい何かが感じられる。女性は思わず後ずさった。
キョーコは躊躇なく会議室のドアの前に進む。ゴンゴンとドアが割れるほどのノックをし、「失礼します」と地を這うような声で挨拶をすると、そのままドアの向こうに吸い込まれるように消えていった。
「キョーコちゃん、どうしちゃったの・・・?」
残された人々は呆気にとられて閉ざされたドアを見つめるばかりだった。


「キョーコ!今日事務所だったんだ」
会議室に入って来たキョーコに対して、蓮は普通に笑顔で声をかけた。が、瞬時に尋常でないキョーコのどす黒いオーラに気がつく。
「……その赤ちゃん・・・敦賀さんの、お子さんですか」
キョーコの視線は、蓮の腕の中で機嫌よくおもちゃをいじくり回している赤ちゃんに固定されていた。社がギョッとして慌てる。
「違うよ、キョーコちゃん。なんでそうなっちゃうの?」
「外で皆さんが、敦賀さんの恋人らしき女性がその赤ちゃんを連れてきたって仰ってるんですけど・・・」
蓮と社が困った表情で顔を見合わせる。
「やっぱり、そうなんですか・・・」
キョーコは唇を噛み、ぎゅっと両手を握り締める。顔から頭までもがカッと熱いが、反対に背筋には冷たい汗が伝っていく感覚がある。何も考えられなくて頭の中がぐるぐる回っている気がした。

「こら、そこで早とちりしない。この子が隠し子だなんて、そんなとんでもない噂を鵜呑みにするの?」
蓮がキョーコに声をかけると、腕の中の赤ちゃんが声に反応したのか、蓮を見上げて顎にその小さな手を伸ばす。ん?と蓮は視線を下げ、赤ちゃんの小さな手に自分の指を握らせた。
「・・・鵜呑みにしたわけじゃないですけど・・・・・・だって、敦賀さん、そんな顔でその子の事見るんですもん・・・」

え?と蓮はびっくりしたような顔でキョーコを見る。
「自覚、ないんですか?娘を見るお父さんの顔みたいですよ・・・」
キョーコはひどく辛そうな顔をしていたが、対する蓮はなぜかそれに対して慌てることもなく、笑みすら浮かべているようだ。社は二人の様子を見ながら、はらはらと成り行きを見守っている。

蓮はくすりと笑うと、キョーコの質問に答えた。
「違うよキョーコ。この子は、俺の家族ではあるけど、俺の子供じゃなくてね・・・妹だ」
「は・・・?妹?え・・・てことは、あの・・・えええ?」
キョーコは内心混乱しながら考えた。

妹・・・妹って事は、お父さんとお母さんが同じってことだから、その子は先生の子供????
えええええ!!!!ジュ、ジュリエラさんがう、産んだのっ??な、何歳差の兄妹??

蓮はキョーコに告白して付き合いを始めるにあたり、その素性をキョーコに対して、そして同時に社にも明らかにしていた。キョーコはその事実に驚愕はしたものの、その後クー・ヒズリに会う機会も無く、そういうことなのか、と事態を理解しただけにとどまっていたのだ。

蓮はキョーコの表情の変化から、正確に考えていることを読み取る。
「まあ、妹って言ったらそう考えるかもしれないけど、ちょっと事情があってね。この子はヒズリ夫妻の養子だ。だから、俺とは血はつながってないんだよ」
あの人たちの愛情に、血のつながりなんて関係ないけどね、と言いながら相変わらず口を開けて蓮を見上げてくる赤ちゃんのおでこに蓮はキスをした。

「妹・・・養子・・・」
やっと事情が分かったキョーコは、しかしそれらをまだ完璧には飲み込めずに呟くように言った。
「この子は、母親がどうしても手放さなくてはいけなかったんだ。それで、あの二人が自分たちの子供として迎えることを決めたらしい」

母親が手放した子供・・・

キョーコはまだぼんやりと、蓮の腕の中の小さな体を見つめていた。ほっとしたような、悔しいような、うらやましいような、ごちゃごちゃな気持ちが押し寄せてくる。

蓮はそんなキョーコを見つめると、社に小声で何かを伝えると、腕の中の赤ちゃんを託す。社は頷くと、おっかなびっくり、でも大事そうに赤ちゃんを抱きかかえてそっと会議室から出て行った。

蓮はキョーコの正面に立つと、少し腰をかがめてキョーコと目線を合わせた。
「混乱させてごめんね、キョーコ。まさか今日ここに来るとは思わなかったから」
「いえ・・・あの、私こそ、ごめんなさい。なんか私、訳が分からなく・・・」
キョーコの目から涙がポロリと一粒落ちる。

「泣かないで・・・混乱させたうえに、辛いことを思い出させてしまったかな。大丈夫。俺が一番大切なのはキョーコだよ」
「はい・・・分かってるんですけど、ごめんなさい・・・」
蓮はキョーコの涙を指でぬぐうと、少し困ったような顔を作った。
「実はね・・・つい最近、俺がキョーコとのことを父に報告しちゃったんだ」
「え?」
蓮は一瞬目線をそらす。
「そしたら・・・両親が大喜びで盛り上がっちゃって・・・・・・急きょ極秘来日したんだ…俺にも言わないままで」
「は?」
「今、二人で社長室に行ってる。俺は偶然ここで母親に会ったんだけど…顔見るなり、『予行練習しときなさい』って、あの子を渡されちゃってね」
「予行練習って…」
「うん。俺と、キョーコに子供が出来たときの予行練習」
「ひえっ?な、あの、…気が早すぎますよ!!!」
「そうだね、確かに気が早いけど、その気分にはなれたよ。……ふふふ、よかった」
「なんで、笑ってるんですか…?」

キョーコはまだ、悲しいのか怒っているのか、全く分からずに思考がストップした状態にいた。でも、その状態にあっても、さっきから一つ気になっていることがあった。
「何でそんなに機嫌がいいんですか、敦賀さん…私がこんなに訳わかんないのに…」

蓮はキョーコを自分の体に引き寄せた。キョーコも抵抗せず、蓮の胸におでこを預ける。
「ごめんね…ほんとごめん。でも、嬉しくって」
「何が嬉しいって言うんですか?」
キョーコの声には少し抗議の響きがこもっていた。
「だって…キョーコがヤキモチ焼いてくれたから」
「はい?」
「恋人になったのに、俺ばっかりキョーコが好きで、俺ばかり嫉妬してたから…隠し子だって思って、怒ってくれただろう?そういうキョーコが見られて、俺は嬉しい」
キョーコがこっそり蓮を見上げてみると、蓮の表情は先ほどの赤ちゃんに向けられていたものよりも甘く蕩けている。慌ててキョーコは頭を下げて再び蓮の胸にもたれかかった。

「…あと、嬉しいこともう一つあったな」
「…なんですか?」
「俺とキョーコの子供の話。気が早いとは言ったけど、否定はしなかったよね。嬉しいなあ…」
「そ、そんなの、言葉の!」
「いや、気持ちって出るもんだよね」
「~~~!で、でも、ほんとにまだまだ早いんですってば!」
「うん、ゆっくり待つよ。しばらくは二人っきりの時間も必要だよね」

しかし、二人っきりの時間は社長室からの呼び出しの内線ベルに無情にも中断され、キョーコの関心は蓮の急降下した機嫌をいかに上昇させるかに集中してしまったのだった。


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コメントコメント


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もーぉ

素敵すぎです。ヤキモチを焼かれながらもほんわか嬉しそうな蓮様が目に浮かぶように素敵でした。この度は無茶なリクエスト叶えていただきありがとうございました。
宝物として頂いてもよろしいでしょうか?

美音 | URL | 2012/11/22 (Thu) 07:30 [編集]


ありがとうございます!

美音様、ありがとうございます!
気に入っていただけてよかったです。

もちろん、お持ち帰りください~~!
ブログ掲載も、大丈夫です!というか、そこまで言っていただいて本当に嬉しいです。
ありがとうございます。

私もクレパラからずっと好きで、でも、数か月前までは読み専でまさかこんなことすることになるとは思ってもいませんでした…。
今後とも、よろしくお願いしますね!

ぞうはな | URL | 2012/11/22 (Thu) 21:52 [編集]


早速

有難うございます。早速私のamebaブログでご紹介させていただきました。
そして今自分のスマホで拝読出来るかinしてみましたが、問題無く読めました。iPhoneでなので、携帯じゃ無いから携帯はわかりませんが。我儘言ったのに本当に有難うございます。

美音 | URL | 2012/11/23 (Fri) 12:09 [編集]


Re: 早速

> 有難うございます。早速私のamebaブログでご紹介させていただきました。
> そして今自分のスマホで拝読出来るかinしてみましたが、問題無く読めました。iPhoneでなので、携帯じゃ無いから携帯はわかりませんが。我儘言ったのに本当に有難うございます。

> 美音様

ご紹介ありがとうございます~~~。
思わず見に行ってしまいました。嬉しかったです。
スマホでのご確認ありがとうございました。わざわざすみません・・!
自分もスマホなので、携帯の制限がよく分からないんですよね。
我儘だなんてとんでもないです!楽しんでいただけるのが一番の喜びです!!

ぞうはな | URL | 2012/11/23 (Fri) 18:24 [編集]