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つぶやき 【1000Hitフリー】


こんばんは!
なんだか今日は急に寒い気がします。ぶるぶる。寒いの嫌いです…。

さて、先日予告しました(勝手に)1000Hit記念 フリー短編です!
ご自由に、お持ち帰りください~~。
お持ち帰りの際、一言お知らせいただけると非常に嬉しいです!!

書いた短編をざらっと読み返してみると、どうもうちの蓮さんはセクハラ大王ですね…






キョーコは携帯をぽちぽち操作しながら感嘆の声を上げた。
「へぇ~~、ほんとに流行ってるんですねえ」

いち早く反応したのは社だ。
「なにが?」と手帳から顔を上げて聞き返す。
蓮とキョーコが共演しているドラマの撮影現場。休憩時間中、キョーコは先ほど別の共演者からもらった情報を元に、携帯でネットを閲覧していた。

「ほらこれ。田嶋さん、アカウント持ってて色々つぶやいてるらしいんです」
「あー、それね、確かに最近多いねえ」
「ええ。結構面白いですね。フォロワーがいっぱいついてるみたいです。やり取りも出来るんですね」
「何万人とかいうフォロワーがつく人もいるっていうよね」
「ひゃー。すごいですねー!」
「タレントだと、ファンとの交流ツールにしていることもあるしね」
「確かにファンは嬉しいですよね。素顔が垣間見えるような気がしますから」

キョーコは近くの椅子に座っている先輩俳優をちらりと見やった。
「敦賀さんは、やらないんですか?」
台本を読んでいた蓮は顔を上げる。
「つぶやくの?うーん、何をつぶやくのかな」
「なんでもいいんですよ。食べたものが美味しかったとか、景色が綺麗だとか、いいことがあったとか!」
「毎日ほぼ現場にいるからなあ。なかなか題材が見つからないね」
「独り言でもいいんですよ?」
「独り言を人に聞かせる趣味はあまりないかな?」
「えー…敦賀さんの独り言なら聞きたい人いっぱいいそうなのに」

社が笑いながら口を挟んだ。
「確かにそうだろうけどね。反面影響力がすごいから、滅多なことを言えないってのもあるな」
「そうなんですか?」
「うん、たまに聞くよね、不用意な発言がものすごい反発を招いて炎上とか」
ああ、とキョーコは納得した。
「それに、蓮が正直に食生活をつぶやいたりしたら、イメージダウンになりかねない」
ああ、とキョーコは深く納得した。

「キョーコちゃんはやってみたかったりするの?」
社に聞かれてキョーコは考え込む。
「うーーん…全く興味がないわけではないですが…直に会って反応がそのまま返って来る方が、嬉しいかなあ…」
「確かに文字だけのやり取りだと誤解が生じることもあるからね」
「そうなんですよね!メールより電話、電話より直接会うほうが、やっぱり伝わりやすいです」

黙って聞いていた蓮が立ち上がった。
「うん、その意見、俺も賛成だな」
「そうですか?」
「うん。つぶやくんだったらこんな風に…」
そう言うと、キョーコの耳元に顔を寄せる。

「最上さん、今日も可愛いね」

耳元から急に低音の甘い響きが聞こえてきて、思わずキョーコは身震いした。
「つ、敦賀さん!」
「んん?ほら、こうしないとなかなか伝わらないでしょ?」
「それはつぶやきじゃありません!」
「え?つぶやいたんだよ?」
「違いますよ!耳元でその人に向かって言うのは『ささやき』です!」

ばれたか、と蓮は肩をすくめてみせる。
「こうやって、直にささやく方がいいな…反応してくれるしね」
「わ、私に対してささやかないでください!」
蓮は真っ赤な顔をしたキョーコの抗議をまるっと無視した。
「あ、そうか、最上さんに対してささやいた結果を、ネットでつぶやけばいいのか」
「何訳の分かんない恐ろしいこと思いついてるんですか!私が表を歩けなくなりますよ」
「うーん、じゃあしょうがない。直接ささやくだけにしよう」
「だから、どうしてそういう結論になるんですか!」
「ささやき返してくれてくれたらすごくうれしいのに」
「な、何をおっしゃいますか」
「何万人のフォロワーより最上さんのささやき返しの方が何万倍も嬉しい」
「なっ!そ、それもささやきのひとつですかっ?そうやってまた人の反応見て楽しんでるんですね!」
「そんなことないよ。ためしにささやいてみて」
「・・・・・・」
「ほら、なんでもいいから」
キョーコは赤い顔のまま、ううう、とうめくと覚悟を決めたのか蓮の耳元に近づく。

「ちゃ、ちゃんとご飯食べてくださいね?」

蓮は真顔で固まった。
「・・・・・・」
「な、何でもいいって言ったの敦賀さんなのに!!」
「あ、いやごめん。ささやきってすごい威力だなあと思ってね」
「なんですか、威力って」
「うん、やっぱりつぶやきじゃなくてささやきにしよう。これからもささやき返しよろしくね、最上さん」
「そんなにささやく事ないですよ!!」

ぎゃあぎゃあと繰り広げられるいつも通りのやり取りを見ながら、「ぼやき」サイトってないのかなあ、と社はぼんやり考えてしまった。

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