SkipSkip Box

はじまりのおはなし (1)


こんばんは!!ぞうはなです。

さてさて、今日からは新しいお話のスタートです。
3周年リクエストに入りますよ~~~。(って、今は4年と1か月が経過してますけどね)

一発目はいわりん様のリクエスト。
内容は「クーパパとジュリママのなれそめ」!
ちょいとこれまでとは毛色が違いますねぇーー。
本誌では出てきていないこのお話。ぞうはなが書くと、何やらパラレルか?という妄想ぶりになりそうですが。

ぶちぶち言いながらも、妄想頼りで行ってみましょうか。





「先生!」
「おお、キョーコ。元気にしてたか」
相変わらずのピンクつなぎだが、1年ぶりに会う少女は少し大人びて女らしくなってきたような気がする。
それは父としての贔屓目だろうか。いやそんなこともないだろう。

俳優クー・ヒズリはサングラスをかけて空港の到着ロビーに出てきたところだ。今回はプライベートな秘密の来日のためファンの出迎えも無く、迎えたのは可愛い娘(いや、息子か?)のキョーコだけ。

クーはスーツケースから手を離すとキョーコの体を力強く抱きしめた。
「だいぶ色々な役をもらえるようになってきたようだな」
「先生、ご存知なんですか?」
「もちろんだ、大事な子供達の活躍はどこにいたってチェックしてる」
えへへ、と嬉しそうに笑うキョーコの髪をぐしゃぐしゃとかき回し、クーは再びスーツケースを引き始める。
「ここへはどうやって?」
「社長のお車でです」
「ああ、なるほど」
2人が空港の外に出ると、そこには行きかう人たちがじろじろと眺めてこそこそと話す、そんな浮世離れした長い豪華なリムジンが停まっていた。
浅黒い執事の服装の青年が恭しくドアを開けて2人を車中に導きいれ、車は音もなく走り出す。

「キョーコが迎えにきてくれて今日は最高にいい日だな。それに、キョーコに久遠の想いが通じたと言うのも喜ばしい」
満足げにクーが頷くと、途端にキョーコの顔が真っ赤に染まった。
「んな……!なぜそれを……」
「あ?ああすまん、私がこれを知っているのはキョーコと久遠には秘密にしておくはずだったんだった」
ぺしり、と自分のおでこを叩くクーは、まったくすまなそうな顔をしていない。どうせ、社長から面白おかしく伝わったのだろう。
キョーコはやれやれとため息をつくと気を取り直してクーを見た。

「それにしても驚きました…まさか敦賀さんが先生の息子さんだったとは」
「まあ色々事情があってな」
「はい、大雑把なところは敦賀さんに伺ってます。そういえば、今回奥様はいらっしゃらなかったんですね」
「そうだな、何とかしようと頑張ってたが、まあコレクションが始まったら無理だな。私のほうの時期をずらせないかと散々なじられたよ」
「とはいえ、年中お忙しいそうで」
「うむ、ともすると私より忙しいかも知れんな」
嬉しそうに頷くクーを見て、キョーコは両手を組むとうっとりと宙を仰ぐ。
「すごいですよね…ジュリエラさん。あんな大きいお子さんがいらっしゃるのに全然そんな風に見えなくて、今も現役ばりばりのモデルさんで美しくて格好良くて…」
「そうだろう」
クーはにこにこと頷き、「ジュリの美しさは若い頃はもちろんだが、今でも一向に衰えることも無くて」と独演会が始まりそうになる。

「でもそう言えば、先生とジュリエラさんってどうやってお知り合いになったんですか?」
悪気無くキョーコはクーの妻賛辞をぶった切った。クーは滑らかに動いていた口を一度止めると、不思議そうにキョーコを見る。
「そうか、あれはキョーコが生まれる前のことだな」
「それはもちろんそうです」
「キョーコと久遠の出会いほどドラマチックではないぞ」
「…先生、一体どこまでご存知で……」
キョーコは赤い顔をしてパタパタと手で自分の顔を仰ぐ。しかしクーはそんなキョーコに構わず車の窓から見える空を見上げ、片手で自分の顎をゆっくりとなでた。
「ただそうだな、今考えればあの出会いは運命だったのかもしれん」


保津周平。

その名は確かに日本では実力派若手俳優としてかなりの認知度を誇っていた。
しかし単身アメリカに乗り込み、本名"クー・ヒズリ"で俳優としての新しいスタートを切ろうとしている男にとってはこれっぽっちも役に立たない名前でもあった。

「このオーディションはいい感触だったと思ったんだけどな」
くしゃくしゃと丸められた募集要項が弧を描いてゴミ箱にすとんとおさまる。椅子の前足を浮かせて机に足をかけていたクーはため息をひとつついたが、すぐに机の上の別の紙を取り上げた。
「まあでもこっちの役の方がやりがいはありそうだな。アクションもあるし」

アメリカに渡るとすぐにクーは積極的に映画のオーディションに参加した。当初その勝率はあまり高いものではなかったが、クーはとても前向きで、そして俳優としての実力は確かなものだったようだ。
渡米から半年ほど経つと徐々にオーディションで役を勝ち取れるようになり、ギャラが上がり、セリフが増えていった。
そしてついに1年後、オーディションで数々の有名俳優を蹴落として、主人公の相棒という、準主役の座を射止めたのだ。

「刑事役だからな。出来ることはすべてやって臨もう」
クーは撮影が始まるまでの準備期間で、銃器の扱いや格闘術、肉体改造と、求められたすべてをこなしていた。
役を得られたのは"日系人の役"という、日本人の血が入っているからこそのアドバンテージがあったことは確かだが、結果として次にステップアップできればそれでいい。
クーは日本を離れて以来悩まされていた自分のルーツの問題とも折り合いをつけ、前向きな気持ちで撮影初日を迎えた。


「古代の国の王女か…さもなくば、妖精とか妖怪みたいな人ではない存在のようだな」

映画のヒロイン役として紹介されたのは、きれいなプラチナブロンドと八頭身のスタイルを持ち、透き通るような肌のロシア人モデルだった。
「ジュリエラです。よろしくお願いします」
差し出された腕と指は細く長くまるで人形のようで、反射的に握り返したその手が温かいのが意外に思えるほどだった。
「ああ、クー・ヒズリです。よろしく」
「映画は分からないことだらけで…迷惑をかけちゃうかもしれないけど」
「なに、気にしなくていいよ。俺もまだ駆け出しだ。それに徐々に慣れるだろうし」

ジュリエラがスーパーモデルであり、数々のブランドからも引っ張りだこだという話はクーも聞いている。テレビや写真など間接的にその姿を見知ってもいた。
けれど、実際に会ってみるとその存在感は圧倒的だ。普通に微笑みながらたたずんでいるだけで、その周辺がぱっと明るくなるようだし、視線が引き付けられてついつい失礼と思いつつ凝視してしまう。

とはいえ…ショーの映像を見たときにはもっときつそうな女性だと思ってたけど。
なんかフワフワしてるけど大丈夫なのか?


以前見た映像ではジュリエラは露出の多いドレスを着てきついメイクをしてきりっとした表情で颯爽と歩いていた。
だが今目の前にいる女性は、メイクも服装もどことなくほんわりとした、陽だまりのようなのどかさを感じさせる雰囲気だ。


主演であり、役柄的にはクーの相棒となる俳優がやってくる。
クーよりも少し背が高く少しがっちりとし、ジュリエラに比べればやや濃い色の金髪と青い瞳の男性だ。
「やあジュリエラ。競演できて嬉しいな」
「アラン、こちらこそ、この間の映画見ましたわ。タイトルはええと………ええと?」
「いいよ、無理に思い出さなくって」
「ご、ごめんなさいね、ほんとに見たのよ」

ははは、と笑って男性はクーの方に向き直った。
「アラン・ダルガーだ。よろしくな、相棒」
「クー・ヒズリです。置いてかれないように頑張るので、よろしく」
アランの方が年齢も少し上で、なによりもハリウッドでのキャリアと知名度は段違いだ。クーは素直に相手の大きさを認めて手を出した。がしりと強い力で大きな手がそれを包み込む。
「おう。容赦はしないけど、まあ楽しくやろう」
アランの笑顔は男から見ても爽快で魅力的なものだった。


この映画でまたひとつステップアップだ。
知名度も、実力も。そのためには気合入れないとな。


クーははち切れそうな決意とやる気を胸に秘め、撮影初日に臨んだのだった。


関連記事

PageTop
 

コメントコメント


管理者にだけ表示を許可する
 

ありがとうございます

ワガママきいていただき、ありがとうございます😆💕✨中間決算でバタバタしておじゃまできなかったら、ボーナスもらったみたいです。感謝します😃ありがとうございます☺🎵

いわりん | URL | 2016/10/01 (Sat) 13:57 [編集]


Re: ありがとうございます

> いわりん様

いえいえーー、リクエスト実現が遅くなりまして申し訳ありませんー。
まだ見てていただいてありがとうございます。

そうか、9月は期末でしたね。お仕事お疲れ様です。
ご期待にそうお話にできるのか…?だいぶ不安ですが、とりあえず頑張ってみます!

ぞうはな | URL | 2016/10/03 (Mon) 21:33 [編集]