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きみと恋をする方法 (27)


こんばんはー!ぞうはなです。

今週はー、だめだーーー。
でもなんとか1話は載せるー!





久遠は目をつぶって片手で顔を覆っている。

「どうしたんですか…?」
恐る恐るキョーコが声をかけると久遠は顔に当てていた手をゆっくり外し、ドアに背をもたれたままずるずると座り込んだ。
「大丈夫ですか!?」
キョーコも慌てて膝をつき、体育座りの姿勢で膝の間に顔を埋めてしまった久遠を気遣う。

何か気分が悪くなる事があったのだろうか。立ちくらみ?貧血?
考えながらおろおろと周りを見回したが役に立ちそうな物もない。

すると久遠が顔を上げた。電気の消えた生徒会室でドアも閉めてあり少し暗いので気のせいかもしれないが、その顔は赤くなっているように見える。
「ごめん…俺、なんかすごく格好悪いな…」
弱々しく吐かれたセリフが予想外で、キョーコは目をまん丸に見開いてしまった。
「ど…どうしてですか?格好悪いなんて」
「だって普通告白は2人っきりで、本人に対してするものだよ」
「ひ??」

一瞬忘れていたパニック状態といたたまれなさがキョーコに戻ってくる。
「こ、こここここ…?」
自分は鶏か、と思うが、うまく口が回らない。すると久遠に両手をがしりとつかまれてしまった。
「やり直し、させて」
「は…い……?」
久遠は真面目な顔で真っ直ぐに自分を見ている。
「本当はもうちょっと生徒会のあれこれが落ち着いてからって思ってたんだけど、ちゃんと言わせてほしい」

膝を崩して身を乗り出したクオンに対して、はふはふ、とキョーコは虚しく口の開閉を繰り返した。

酸素がほしい。

両手をつかまれているので体をこれ以上ひくことは出来ないし、その強い光が宿った瞳に見つめられると目すらそらせない。それになぜだか不思議な事に、体の内側から何かの予感に歓喜しているような小躍りするような気持ちが湧いてきて、それがキョーコに逃げるなと囁く。


「俺、最上さんと一緒に生徒会活動できてすごく嬉しいんだ。少しでもそばに、一緒にいられる時間があるって思えると」
「は…いえあの、ありがとうございます」
「でもそれだけじゃやっぱり満足も安心もできない。だから俺と付き合ってもらえませんか?」
「つ…!!」

キョーコの背中がびしりと伸びた。伸びすぎてややのけぞるような姿勢になる。
「だ…?わ、私とですか……?」
「うん。もちろん」
「え…?ちょ、ちょっと待ってください…」
キョーコは久遠が緩めた手の隙間から自分の手を抜き取って、胸に当てる。どきどきと激しい鼓動は胸に手を当てなくても全身を揺らして、1人地震の中にいるようだ。

「ちゃんと言うのは落ち着いてからにしようと思ってはいたけど…でも、今までも少しは意思表示していたつもりなんだけどな」

やや不満げに言いながら胡坐をかいた久遠に、キョーコは真っ赤な顔でしどろもどろながらも言い返す。
「いえだって…先輩みたいな方は息をするように誰にでもああいう事を言うのかと」
「…俺が誰にでも?そんなことしないよ。大体俺みたいな人ってどんな人?」
「………」

ぼつりと呟いたキョーコに、久遠は渋い笑いを浮かべた。
「天然タラシとはひどい言われようだな」
「だって…」
「誤解のないように言っておくけど、俺がそんなこと言うのは君にだけ。他の人には言わないよ」
「う…」
「だってそれはそうだ。好きでもない人にそんなこと言っても仕方がない。自分が好きな人に好かれなければ意味がないよ」
「でも…でもあの……」


久遠は注意深くキョーコの様子を観察した。
ぎゅうっと胸に当てられた両手はまだ力が入っていて戸惑ってはいるようだが、顔は真っ赤でそれほど嫌がられているような感じではない。いや、願望による思い込みかもしれないが。

もうひと押しか、と久遠は腹に力を込めて静かに息を吸った。
冷静でいるつもりだが、少し声が上ずりそうだ。

「君にとってはいきなりだと思うけど、それほど深く考えなくてもいいんだ。ただ俺は、生徒会の名目とかそういうものを抜きにして、君と話したり…一緒に遊びに行ったり、そういうのがしたい」
「一緒に…?」
「うん。この間みたいに試合を見に来てもらったり、2人でどこかに出かけたり。それってただの先輩後輩じゃあまりしないことでしょ?」
「ええ…それはまあ、確かに」
少しだけキョーコは落ち着いたように見える。なるほど、具体的に想像させればいいのか?と久遠は考えを巡らせた。

「君は、この間の試合の時みたいに学校以外で俺と会うのは嫌?」
「いいえ!嫌だなんてそんなこと、ありません」
「ほんとに?それじゃ、たとえば映画とか…買い物とかに一緒に行ってくれる?」
キョーコは目をぱちくりと瞬かせる。きょろりと視線が動いたところを見ると、ちゃんと想像してくれているらしい。

「はい…あの、先輩がよろしければ」
「もちろん俺はよろしいんだけど、君も」
「はい!この前の試合も楽しかったですし、ですけどその……本当に先輩は私と一緒で…いいんですか?」
次第にキョーコは声が小さくなる。少し俯き加減になり、様子を伺うように上目遣いに見られて久遠はぐらりと自分の理性が揺らぐのを感じた。
「俺は君が好きなんだ。好きな人と一緒にいたい、って普通は思わないかな?」
ぼわっとキョーコの頬がさらに染まる。
「す、好きって…!」
「君が信じてくれるまで何回でも言うよ。俺は君の事が誰よりも好きだ。…正直に言っちゃうと、君を不破君に取られるのは我慢が出来ない」
「ちょっ…何を?だ、大体あいつは私の事なんか…!」
「君がどう思っててもいいけど、これだけは確かだ。君には、不破君より俺を選んでほしいと思ってる。いや不破君だけじゃないな。他の男も含めても一番がいい」
「………」

息もできなさそうなキョーコを見て、久遠は一度口をつぐんだ。
勢いに任せて突っ込み過ぎた、そう思いながら少し体を引いて気持ちを落ち着ける。
「ごめん…いきなり言われても困るだけだよね。…じゃあ俺の告白は置いといていいから、とりあえず一緒にいてくれる?」
「へ……?」
「嫌じゃなければ俺と学校外でも一緒にいる時間を作ってほしい。それは、いいかな?」
「はい…それはもちろん」
「よかった!じゃあ、よろしくね」

にこりと右手を差し出されて、キョーコはおずおずとその手を握る。
「あの…よろしくお願いします」
久遠を見上げれば久遠はいつもの穏やかな笑みよりも柔らかく甘い笑みを浮かべている。
キョーコは何やらむずむずと嬉しい気持ちが湧いてきて、思わずつられるように笑ってしまった。するといきなり、キョーコの手がぎゅっと握られてそのまま強く引っ張られる。

「??」
ぽすん、と久遠の懐に転がりこんでしまったキョーコは反射的に離れようとした。しかしその体はがっちりと長い腕に束縛されて離れられない。
「あー…ごめん。ちょっと我慢できなくて」
「我慢って何の…?」
「んん、君が可愛いから触れたくなる」
「んな!もう、そう言う事言うから……!大体、ダメですよ生徒会室でこんな…」
「いいよバレなきゃ」
「えええっ!?」
「俺と君が黙ってればなかったことになる。ね?」


その約10分後、社ががらりと生徒会室のドアを開けた。
先週と同じ席に座った久遠とキョーコは先週と同じように打ち合わせをしながら弁当を食べていたのだが、社はさりげなく様子を伺って首をひねった。
1つ後輩の副会長はいつもと少し違う笑みを浮かべているような気がするし、1年生の会計は何やらおどおどと挙動不審だ。

社は「何かあったか?」という問いを喉もとで止めた。
何故だかは分からないが、自分以外の2人はすべて分かっている。なんかの秘密を共有している。そんな気がしてならなかった。


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