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距離

俺の用事があって蓮と一緒に立ち寄った事務所で、キョーコちゃんに会った。
「キョーコちゃん、久しぶりだね!」
声をかけると、いつものように笑顔で挨拶してくれた。
「あ、社さん、お久しぶりです!敦賀さんも、おはようございます」
ふふふ。確かに俺は久しぶりだけど、蓮とは久しぶりじゃないもんね~。

蓮もキョーコちゃんもまったく素振りには見せないが、二人は今映画の撮影で、ヒール兄妹を演じている。
昨日も撮影があったはずだから、ここのところ毎日顔を合わせて…いや、それどころじゃない、寝起きを共にしているはずだ。

「最上さん、今日は事務所に用事?」
「はい、ちょっと椹さんと打ち合わせがありまして・・これからTBMに移動するところです」

二人はごくごく普通に、先輩後輩として会話している。
これがブラコン・シスコンの兄妹になるって、なんか想像できないんだよね~~。
蓮のマネージャーという俺の立場上、その姿を見ることもできないし。くぅ~~、見てみたい!

俺があれこれ考えているうちに、移動先が重なったからと蓮がキョーコちゃんを送っていくことで話がまとまったらしい。
「じゃあ、そろそろ行くか」と声をかけて促したところで鞄に入れてあったケータイから着信音が聞こえてきた。
あわてて手袋を装着してケータイを開きながら、二人に告げた。
「あ、悪い、先に歩いていてくれる? すぐ追いかけるよ」

分かりました、と駐車場に向かって歩き出す二人を目の端で見やってから、電話に出る。明日の雑誌取材についての確認の電話だったため、すぐに通話を終えて、二人を追った。

角を曲がると、歩いている二人の後ろ姿が…。

んん?

…あれれ?

なんか、近くないか?

いつもだったら、キョーコちゃんが若干後ろを歩くか、並ぶとしても二人の間は人ひとり分くらい空いてたはずだ。まあ、普通、それくらいは空けるよな、普通。

メガネの調子が悪いんじゃないとしたら、あれ、二人のシルエットが重なってないか?
キョーコちゃんの右半身が、蓮の体に隠れて、見えない気がする。キョーコちゃんが前を歩いて…いる訳でもないような。

すると向かいから、台車を押した社員がやってきた。蓮がごく自然にキョーコちゃんの腰に手をまわして引き寄せ、道を空けた。

おいおい!!
あわてて追いつき、こっそり二人に声をかける。
「蓮!キョーコちゃん!あのさ、こんなこと言うのもなんだけど…距離感、近くないか?」

キョーコちゃんは、はっと何かに気がついたようで、真っ赤になってあわてて蓮から離れた。
蓮の顔には、「何余計なこと言ってくれてるんですか?」と書いてある気がするぞ。

キョーコちゃんはセツカがなんとなくついちゃってたんだね。そんな気はしたよ。
でも蓮、お前は分かっててやってんのか!
なし崩しなんて卑怯だぞ。あ、こら、わかってんのかー!




役とはいえ、四六時中くっついてたらそれが普通みたいになったりしないのかな、て素直に疑問に思っただけだったり。

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