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しゅうちの事実 (後編)


こんばんは!ぞうはなです。
ようやく後編、でございます。

ではどうぞ!




「しかしこうやって並んでると、すごい絵面だなぁ~」
「京子ちゃんこんな2人に囲まれての撮影ってすごいでしょう」
「そうですね…でも撮影が長かったのでかなり麻痺しちゃいました」
「じゃあそいつの顔面見てリハビリしといて」
「俺をそういうリハビリに使うな!」

生放送の番組は、心の準備が出来ていようがいまいが時間通りに進行する。
芸人が座るひな壇の真ん中に蓮と加藤は並んで座り、その後ろの一段上がったところにキョーコが座っていた。蓮もキョーコも内心のあれこれは微塵も見せず、にこやかな微笑みをたたえている。

「さて、ドラマの宣伝はもうたっぷりしてもらったんでそろそろお題の方に移りましょう!」

打ち合わせの際に事前に取られたアンケートに従って、各自が話題を振られて自分の身に起きた小さな出来事を披露していく。
周りは芸人ばかりなので細かい部分を上手に拾って笑いにつなげていき、加藤や蓮もうまくそれに答えるため、場は十分に盛り上がっていた。

「さて、次のお題は『最近へこんだこと』!」
「なあ、いいかな言っちゃって」
「なになに」
進行役の芸人が頭をかきながら言うと、即座に他のメンバーが興味深そうに促す。

「さっきな、敦賀さんから言われたんやけど。なんでもごくごく最近滅茶苦茶へこんだことがあるっちゅーて」
「おおお?」
「事前アンケートの話と差し替えてそっちの話をしたいっちゅーんやけど、ええか?」

「悪い訳あるか」
「お前の前振りなんてどーでもいいからはよせえ」
もったいぶったような司会に遠慮なく野次を飛ばす外野。その中で話を振られた蓮は苦笑しながら口を開いた。

「へこんだというか、現在進行形でへこんでる話なんですけどね」
「敦賀君これ生放送だけど大丈夫?ピーって音入らへんよ」
「ああ、大丈夫です気をつけますから」
「危ない思たら俺が『あぁーー!』って叫んだるわ」
「じゃあそういう時はお願いします」

突っ込みを受けながら蓮は話を始める。
「まあ簡単に言ってしまえば酒で失敗した話です」
「ほー。敦賀君って酒強いん?」
「まあ、ほどほどですね」
そこで黙って聞いていた加藤が即座に反論した。
「嘘つけ!俺が今まで一緒に飲んだ中で一番強いぞ、こいつは」

ええええ、とどよめきが起こるが、まあまあ、と周りが加藤をなだめて蓮は話を続ける。
「先日酒の席でかなり飲んで酔っちゃったんです。それで、その内の1人の女性が帰る時に勢いでついうっかり本音を言ってしまって」
「本音って何?好きです!とか?」
「まあそんな感じです」

司会は茶化して言ってみたのにあっさりと肯定されて、場はまたもや大きくどよめく。
「俺はその時そんなことを言うつもりもなかったんです。その時どころか、彼女にふさわしい男になれるまでは心に秘めていようと思ってました」
「敦賀君がそんなこと言ったら告白できる男子なんてこの世におらんで!」
「そんなことはないですが…だけど結果としては言ってしまった。そして彼女もその言葉をばっちり聞いてました」
「うわーーー、いいのか敦賀君、これ流しちゃってホントに?」

蓮は静かに頷いた。
「言ってから我に返りました。酔ってるせいで頭も働かず、その場では慌てて彼女を帰してしまったんですけど、一度口から出た言葉にはやはり責任を取らなくちゃいけないですよね」
「おお、男ならなあ!格好いいなあ全く」
「それで、そのあと彼女に改めて告白しようとしたんです」
「おお!ん?ちょっと待てよ、それが『へこんだ話』になるってことはあ?」
「ええ!ちょっと待ってちょっと待って!」と蓮の周りの芸人たちが立ち上がって騒ぎ出すが、蓮は笑みを浮かべたまま静かに座っている。

「単純に振られた、ていうのならまだ…よかったんですけどね」
「え?どゆこと?"最低!"てひっぱたかれたとか?」
「いえ…俺、それも含めていろんな最悪パターンを想定してたんですけど、まったくはずれました」
「何て…言われたん?」

口々に蓮に突っ込んでいた周囲がぴたりと黙って注目する。蓮は苦笑しながら髪をかき上げた。
「忘れますって言われたんです」

え?と疑問符を顔に貼り付けた周囲を見回して蓮は続けた。
「俺が酔っ払っていたので、『誰か別の人と間違えたんでしょう』って。なかったことにされました」
「えええええええ??」
「うそぉ!」
「もし本当に間違いだったとしても、ラッキーな間違いだよなあ!」
「そのまま付き合っちゃえばいいのに、誰なん?その真面目な相手の人は」
目を丸くして芸人たちは口々にあれこれ意見を言った。加藤はなにか思うところがあるのか、口を結んでずっと蓮の顔を見つめている。

「同情とか責任でっていうのは、逆に辛いって言われました」
「え、で?敦賀君はそれで…?」
「弁解する隙を与えられなかったんで、ものすごくへこみました。でも俺、どうしても彼女だけは諦められないんです。ちゃんと俺の気持ちを伝えた上で断られたら仕方ないですけど、誤解をされたままって言うのは納得できません」
蓮は真顔できっぱりと言い切った。

「はぁ~~~~~~……」
嘆息のような声が周りから同時に漏れ、芸人たちは顔を見合わせて笑った。
「あの時うっかり口にしてしまって慌てたのは確かですけど、正真正銘俺の本心でした。だけど直接言っても信じてもらえないので、こうやって皆さんにも俺の本心を聞いてもらって信用していただきたくて」
「あ、ああ、いや、すごいな敦賀君」
「おお、俺が言ったる。ええと、どこのどなたか存じませんが、敦賀君は本気ですよ!本気の目ですよ!」
「そうやそうや!こんなええ男にこんな真剣に想われて、あなたは幸せもんですよ!」

カメラに向かって代わる代わる語りかける出演者に「お前らが語るな」と笑うと、司会は話をふと目に入ったゲストに振ってみた。
「なあ、どう?京子ちゃん。敦賀君にこんなこと言われたら、どうする?」
「え?…は、はい!あの…」
ぼうっと呆けたような表情だったキョーコははっと気がつくと急に慌てた。見る見るうちに顔が真っ赤に染まり、少し涙目になっている。
「ちょっ、どうしたの京子ちゃん?」
予想外の反応に司会は慌て、周りの視線はキョーコに集中した。
「いえあの、なんでも…ないです」
言葉とは裏腹に溢れる涙は止まらず、目尻からぽろりとこぼれ落ちた。

もしかして京子ちゃんは敦賀君に片想いしてたのか?やばいところをつついちゃったか?と司会が慌ててフォローの言葉を探していると、蓮がゆっくりと立ち上がって振り返った。

「そういうことなんだけど、俺の気持ち分かってもらえたかな?」

「え」、と周りの時間が止まる。

キョーコはずずっと鼻をすすると泣きながらか細い声で返事をした。
「…ずるいです、敦賀さん……こんなみんなの前で……」
「そうでもしないと君は俺の言葉を聞いてくれないから。…返事はあとで聞かせてもらってもいいかな」
こくり、とキョーコが頷くと、スタジオ内は全員の叫び声と共に大騒ぎになった。

時間通りに番組は進行する。
生放送のいいところでもあり悪いところでもあるこの事実は、蓮とキョーコにとってはいい方へと働いた。
「なんだかすごいことが起こりましたが」
「生ってすげえな!」
スタジオの中では番組が進んでいる。もっとも、蓮たちが出演したのは番組後半だったから最後の締めくらいしか残ってはいなかったのだが。

そして蓮の楽屋では、ソファに蓮とキョーコが並んで座っている。
社は事務所との連絡のために席を外していた。セットから下りてきた2人を見た社は、かなりの割合で苦味が混ざってはいたが笑って迎え、「まあ細かいことはお兄ちゃんに任せなさい」と胸を張ってくれたのだ。

番組開始前とは違い、2人の距離は近い。そしてキョーコの手は一回り以上大きい手にすっぽりと包まれている。
「もう…どうするんですか、敦賀さん……私今日から外歩けませんよ」
「どうして?堂々と歩けばいい。何も悪いことしてないだろう」
「ですけど…ああもう、恥ずかしいですよ」
「恥ずかしくもないよ。一番恥ずかしいのは、君への気持ちを全国放送で伝えておいて、君に拒絶される俺だな」
がばりとキョーコは顔を上げる。

「そんな不思議そうな顔しない。だって俺はまだ君の答えを聞いてないよ?」
「ふぁ…!こ、こたえだなんて……」

「受け入れてくれるって…思っていい?」

これなら口を開かなくても意思表示できるだろ?

真っ赤になってしまって口に出せそうにないキョーコに、蓮はそう考えて笑いながら聞いた。
そして蓮の希望通りキョーコは黙ったまま、それでも力強く頷いて、蓮の顔は喜びでほころんだのだった。





ということで、花様のリクエストは
『生放送で蓮さま公開告白!!』でした!
花様、リクエストありがとうございましたーーー!!

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コメントコメント


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ヾ(*´∀`*)ノキャ---

にゃはー♪
言った言った!言いました敦賀蓮!!( *´艸`)←落ち着け
蓮さんの公開告白、バッチリ堪能させていただきました!
番組終了後の加藤さんの反応がもんのすごく気になるところです。
なんて言ったんだろうな~???

素敵なお話ありがとうございましたー!

花 | URL | 2014/06/04 (Wed) 21:59 [編集]


ありがとうございました!!

前中後の3部作で楽しませて頂きました。
素直な蓮様でヘタ蓮様じゃなかったです (笑)
中編でのやり取りの中で、ある程度の手応えが感じられての「生放送、公開告白」だったのでしょうけど、やりますね~!!
素敵な蓮様でした。
キョーコちゃんも逃げる事も出来ず、正面から向き合えましたね。
この二人にはこのくらいのシュチュエーションじゃないとダメですね~
素敵なお話ありがとうございました!!
次のお話も楽しみに待ってます!!

しゃけ | URL | 2014/06/04 (Wed) 23:35 [編集]


王道!

更新ありがとうございます。

短編終了お疲れ様でした。鈍い且つ歪曲思考なキョコさんには生放送という逃げ場がない所に追い込まないとダメなんですね( ̄▽ ̄)
蓮様も必死だからなりふり構わずカミングアウトというか牽制含めて一石二鳥w

ここから先は私の好きな甘々展開を妄想して自己完結させておきます。
(ぞうはなワールドで見れたら爆ぜる自信ありです)

今回も素敵なお話しありがとうございました!

ponkichibay | URL | 2014/06/05 (Thu) 06:07 [編集]


Re: ヾ(*´∀`*)ノキャ---

> 花様

きっちりばっちり、誤解ないよう明確に、蓮さん意思表示いたしまいた。
ちなみに番組終了後、加藤さんは120%の力で蓮さんの背中に張り手をかまし、「今度はサシだ」と言って去って行かれましたとさ。

楽しいリクエスト、本当にどうもありがとうございました!

ぞうはな | URL | 2014/06/06 (Fri) 18:50 [編集]


Re: ありがとうございました!!

> しゃけ様

なにやら長くなりまして、失礼いたしましたー。
一応蓮さんキョコさんの反応を見ていけるかも?と思っての行動でしたが、半分以上はダメもとで押してどっちつかずなのを自分の方に転がすつもり、という強引さんでした。
結果よければよし、ですよねー。
お付き合いいただきありがとうございましたー!


ぞうはな | URL | 2014/06/06 (Fri) 18:51 [編集]


Re: 王道!

> ponkichibay様

最後まで読んでいただきありがとうございました。
蓮さんこれ以上あさっての方向に逃げられる訳にもいかず、袋小路に追い詰めてとどめ刺しちゃいました。
最後まとまればあとは甘甘…と思いきや、あとで色々思い出したキョコさんにちくちく言われたりもしちゃうかもしれないですよね。
なにせ後の収拾つけるの大変でしょうし…。

ぞうはな | URL | 2014/06/06 (Fri) 18:54 [編集]