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まどろみから覚めて(28)


こんばんはー!ぞうはなです。
なんとか週明けの更新!さっそく参りますー。





「ほ、他ってなんですか…?思い当たりませんけど」

素直に本当の事は言えない。そんなことを言ったら、きっとバカにされるだろう。バカにされなかったとしてもそんな迷惑な事を告白したら困らせるだけ。
そう判断したキョーコに出来る事と言えば、しらばっくれる事だけだった。

「じゃあやっぱりあの幼馴染の事…?」
違うと言えばその理由を問われる。キョーコはしばらく躊躇ったが、小さく首を縦に振った。

蓮が静かに息を吐きだす音が聞こえる。キョーコはごくりと唾を飲み込んだ。相変わらず蓮との距離は近いが、少し蓮のまとう空気の温度が変わったような気がする。
「なんでそんな見え透いた嘘をつくのかな」
「う、嘘じゃありません!」
「君の様子を見ていると、確かに完全に嘘ではないだろうね。まだあの幼馴染の彼への憎しみは薄れていない。けど、それだけじゃないんだろう?」

キョーコは図星をつかれ、近い距離に蓮がいることを一瞬忘れてかっとなって言い返した。
「なんでそんな事が言えるんですか?私そんな事一言も…」
「言っただろう。君の顔に書いてあるんだよ」
「そんな…!」
思わず自分の頬を両手で覆ったキョーコに、蓮はふっと笑いをもらした。
「そう言う意味じゃない」
「わ、分かってますよそんな事!」
反射的な自分の行動が自分でも恥ずかしくてキョーコはそっぽを向く。

「誰の事を考えてる?」
静かに低く響いたその言葉に、キョーコは顔をそらしたまま目を見開いた。答えられないでいるキョーコに、蓮は呟くように言葉を続ける。
「君は…誰かを憎んだり、誰かを愛したりしたらその都度眠れなくなるの?それほどまでに深く想う人が…他にもいるの?」
「違います!そんなホイホイ簡単に人を好きになったりしません!」
受け流せずにキョーコは言葉に乗せられてつい言い返した。しかし視線があった蓮は冷静な表情ですぐに問う。
「じゃあどういうこと?教えてくれるかな」

やっぱりダメー!口じゃ勝てない!!
でも、でも………

「……のせいです」
「え?」
ぼそっと口の中で紡がれた言葉は小さくてこもっていて聞きとれず、蓮は聞き返した。

「敦賀さんのせいだって言ったんです!」
一度口に出してしまえば思いは溢れだす。なにせ、今の今まで心臓が止まるかと思う迫力で追い詰められていたのだ。半ばやけっぱちというか腹立ちまぎれというか、キョーコの声は少し大きくなった。
「私が敦賀さんの隣でしか眠れないって分かってらっしゃいますよね?先週ここでぐっすり眠ってしまったら…その後ますます普段は眠れなくなったんです!あなたがその心地よさを私に教えてしまったから!1人で眠ろうとしても敦賀さんの気配がないと…」

びっくりした表情で目を見開いて自分を見つめている蓮に気がついて、はっとキョーコは口をつぐんだ。

言っちゃった…!

無性に恥ずかしくなって顔が熱い。キョーコは目を伏せてさっきの勢いはどこへやら、ごにょごにょと謝罪を口にする。
「…す…みません……ご親切でしてくださった事なのに私……」
「いや……」
戸惑い気味の歯切れの悪い言葉が降りて来て、やはりまずかったとキョーコはそろりと蓮の顔を見上げた。蓮は口に手を当ててしばらく止まっていたが、やがて少し目を細めるとその手をキョーコの方へと伸ばしてきた。
伸びた指はキョーコの前髪をするりと梳き、頬へと滑ってそこで止まり、それから無言で蓮の顔が近づいてくる。


??????

パニックに陥ったキョーコは思わずぎゅっと目をつぶってしまったのだが、すぐにおでこにこつりと堅いものがぶつかった。髪にふわりと何かが触る感触もある。これは…

「うん、熱も上がってはいないみたいだ」
おでこと頬の感触が去ったので、キョーコは恐る恐る目を開けた。蓮は頭を引いてそのまままたごろりとベッドに仰向けになると、キョーコの方に顔を向ける。
「そうか…それで眠れなかったのか」
「いえでもその!違います、だ、大丈夫ですから!」
「よかった、一緒で」
「え、一緒?って…?」

慌てて弁解しようと思ったら予想外の言葉が返ってきてキョーコは目を瞬かせてしまった。
「俺もね、先週以来なんだかこのベッドが広く冷たく感じちゃってね。一緒だよ。君がいないと眠りにくい」
「え……」
「さて、具合の悪い人にいつまでもごめんね。寝ようか」
キョーコの返事を待たず、蓮はリモコンに手を伸ばすと照明を消した。


えええええええええ!!??
なに、どういうこと?
つ、敦賀さんも一緒って…?
私だけじゃないの?でも…ううう、やっぱり分かんない!
分かんないのに、なんであんなに問い詰めてきたのに話を打ち切っちゃうの?き、気になって眠れないじゃない…!!

ちらりと蓮の方を覗き見ようとしたものの、急に照明を落とされたので暗闇の中では蓮の表情を伺うことはできない。


一方の蓮といえば。


あぶな……かった………

予想外の嬉しい告白、恥ずかしそうに赤くなった顔とそろりと窺うように自分を見た上目遣いの瞳。

うっかり舞い上がって思考が飛んで、危うく関係を深めそうになってしまった。キョーコが少し怯えたように体を固くしてぎゅっと目を閉じたのに気がついたから何とか直前に軌道修正しておでこに着地したが、本当にすんでのところでの回避だったと思う。

情けない。
いや、軌道修正したのは正解だと思うが、その前の行動がいただけない。まだキョーコの気持ちを確認したとは言えないのだ。キョーコはただ、自分の隣で眠るのが心地よいと言っただけだ。それ以上でもそれ以下でもない。
なのになぜ?

キョーコのような真面目で経験の少ない子にいきなりベッドでキスなどしたら、怯えられて泣かれて軽蔑されることがあったとしても喜ばれることはないだろうと簡単に予測がつく。
それなのに頭が真っ白になると体が動いてしまうとは、自分に恋愛やそれにまつわるあれやこれやの経験が豊富なことが今回限りは恨めしい。


まったく…嫌われたら元も子もないだろう。

急に受付に立つ機会が増えたキョーコのことを狙っているのは貴島だけではない。ただでさえ貴島はキョーコのことを知れば知るほど本気になって口説くようになってきているのだ。あの幼馴染以外にキョーコを悩ませるものがあると分かってしまって、蓮が落ち着いていられるはずがなかった。

まずいな…最上さんへの気持ちを自覚したら……急に自制がきかなくなった気がする…
考えなしに反射的に体が動くなんて下手したら犯罪だぞ?

冷静さと自制心を取り戻すためにはキョーコとの会話を打ち切ってその姿を目の前から消すしかなかった。

とはいえ。
まったくの自業自得なのだが、照明を消したって自分の隣にはキョーコが横たわっているのだ。
呼吸音は聞こえるし、ぬくもりが伝わってくる気もする。そういうときに限って脳裏によみがえるのは大きいTシャツの裾から伸びた白い脚や潤んだ瞳。

最上さん以上に俺が眠れるのか…?


ぐっと飲み込んだため息は蓮の腹に溜まり、幸いにも隣で戸惑いながら体を固くして横たわる少女に伝わることはなかった。

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コメントコメント


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あと一押し

更新ありがとうございます。

ドキワクです。蓮様やっぱりヘタレなんですね(T . T)
男らしく告ってしまえ〜なんて思いました。いやいや夜は始まったばかりだから今から進展がある?かもですね。
次回更新楽しみにお待ちしてます。

ponkichibay | URL | 2014/04/21 (Mon) 22:21 [編集]


あの〜、それで…

こんばんわ。あの〜、それで…の後はこう続けるつもりでした。「この夜は眠れたんですかあ?」普通眠れませんよね。意識する相手が隣にいて、一気に熱っぽくなった?関係があって…。蓮様の直なのか変化球なのかわからないアプローチも気になりこそすれ、癒しになるとは思えません。焦れるお話ですねえ!!しかし、その分更新がやたら楽しみです。とても面白いです。どうもありがとうございました。

Genki | URL | 2014/04/21 (Mon) 23:55 [編集]


Re: あと一押し

> ponkichibay様

コメントありがとうございます!
男らしく!とも思うのですが、いやいや、なんとか控えめに理性が強い、と思ってあげてください(^^)
やはりいくらもて男とはいえ、相手の態度に全くいい色が見えない場合は躊躇しちゃうんでしょうね~~

ぞうはな | URL | 2014/04/22 (Tue) 22:59 [編集]


Re: あの〜、それで…

> Genki様

きっと一番眠れないのは蓮さん…
キョコさんはきっと悩んで心の中で騒いでも、落ち着けば敦賀セラピーで寝てしまうんだと…
そんな無邪気な寝顔を見てまた蓮さんは苦悩するのでしょう。
ところできっと、直球どストレートを何回も投げ込まないと鈍いキョコさんには届かないのでしょう。不憫な…

ぞうはな | URL | 2014/04/22 (Tue) 23:01 [編集]


うわ~(≧∇≦)

言っちゃたね、キョーコちゃん。よく言えました!!
驚いた蓮様、可愛いです~❤️
なんか、少し素直な二人が微笑ましくってドキドキします~
自覚した蓮様、自分の気持ちを口にしたキョーコちゃん。
二人のこの先楽しみです!!
次回の更新も楽しみにしています\(^o^)/

しゃけ | URL | 2014/04/22 (Tue) 23:28 [編集]


Re: うわ~(≧∇≦)

> しゃけ様

キョコさん、どちらかと言えば、「言わされた」のかもしれませんが。
お互いに相手の気持ちが分からない、どう行動したら嫌われるか分からない、というところだときっとなかなか思い切った行動は出来ないのですよね!
さて、少しは距離が縮まるか…?

ぞうはな | URL | 2014/04/23 (Wed) 20:19 [編集]


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| | 2017/02/06 (Mon) 01:42 [編集]