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君の魔法 0 ~プロローグ?~

性懲りもなく、パラレルの長い話を始めてみます!
少しずつの更新になりますが、お付き合いいただければ幸いです…





とある時代の、とある国の。
小高い丘の上に建てられた、大きな王城の中。

城内の執務棟から、王の住まいである宮殿へとつながる外回廊の途中。
一人の青年が宮殿へ向かってゆったりと足を進めていた。
青年は見惚れるほどに美しい顔つきであったが、その瞳は奥に鋭い光をたたえている。軽装であったが、腰に下げた精巧な造りの長剣がその男がそれなりの身分の武官であることを示していた。

秋風が青年の黒髪をなびかせ、吹き抜けていく。
青年はふと立ち止まって街並みの向こうに見える森を眺めた。
昨年の春のまだ早いうちに北の国境に向かい、帰ってきたのはほんの2日前。北の国境は山岳地帯であるため王都に比べて寒く、ここにいると季節が戻ったかのように感じる。今年の冬は雪と戦わなくて済みそうだ、と思いながら青年は再び歩き始めた。

回廊の突き当たり、宮殿の入り口に近づくと、警備の兵が青年を見てはじかれたように動き、やがて重い扉が開かれる。
青年はそのまま歩を進め、正面の広間には入らず、廊下を右に折れるといくつかのドアを通り過ぎ、やがてひとつのドアの前に立つとノッカーに手を伸ばした。

ノックの音から間もなく、ドアは内側から開かれ、青年は部屋の中へと足を踏み入れた。その部屋は、いくつかある応接間のひとつであり、王への謁見を行う広間よりはこじんまりとしているが、十分に広く豪奢な造りとなっていた。

中央にすえられた応接セットの、青年から正面に見える長椅子には、緩くウェーブのかかった亜麻色の髪の少女が座っており、青年が部屋に入ってくるのを見ると満面の笑みを浮かべた。少女はこの国の国王の孫、王太子の一人娘であるマリア姫であった。
「お久しぶりね!レン様!!」
レンと呼ばれた青年はそのまま進み、長椅子から少し離れたところまでたどり着くと、片膝を床について臣下の礼をした。
「お久しぶりです。マリア様。2日前にお見掛けしたときも感じましたが、すっかりお美しくなられましたね」
レンの顔には優しい笑顔が浮かんでいる。

「お世辞はいいのよ・・。レン様は相変わらず口がお上手ですわね」
言葉ではそういってみるものの、まんざらではないらしく、マリアは頬を赤く染めて恥ずかしそうな笑みを浮かべる。
まだ幼いマリアだが、その表情や物腰は王家の姫としての気品をたたえていた。
レンを慕っていたマリアは、レンが北方へ旅立つときは涙を浮かべて走り寄り、寂しさからすがりついたのを覚えているが、いまやすっかり振る舞いがレディのものになっている。

「ところで、本日は・・」
レンが、自分が呼ばれたことについての本題に触れようとした。
「それに関しては、私から説明しようか」
すぐに、マリアの手前のソファに座っていた男が返答した。
黒いシャツとズボンで精悍な体つきの男は国外にもその名をとどろかせているクー・ヒズリであった。王族に次ぐほどの権威を誇る貴族でありながら、周辺国とのかつての戦では数え切れないほどの武勲をあげ、現在も国王の信頼を得て王城警備の全権を任されている。ついでに、国軍の重要なポジションにもついているという実力者だ。

「ヒズリ様がいらっしゃるということは、警備体制について何か?」
レンが王城の近衛隊の小隊長の任を受けたのは長旅を終えて王都に帰りついたその日のことだった。上司であり、武芸の師匠であり、王城警備のすべてを掌握しているヒズリからの話というのは、自分の任務についてのことに違いないだろう。

「部下は全員覚えたか?」
ヒズリはさらりと尋ねる。近衛隊は100人を軽く超える規模で、レンがたばねる小隊だけでも30人はいるのだが、
「一通り、名前と顔だけは」と、これまた当然のように返答が返った。
ヒズリはにやりと笑い、続けた。
「もう一人、新しい部下を覚えてくれ」


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Re: はじめまして。

マリモ様

こちらのブログに遊びに来ていただいて、そしてコメントありがとうございます!
マリモ様のブログ、以前からよく読みに行かせていただいてます!!!

> どのお話も自分では書けないような胸がキュンとしまくる萌え満載のものばかりで、読み終わった今もそれが続いているためニヤニヤ笑いが止まらないといった状態です。

そう言っていただけるととてもとても嬉しいです。
どうも、最初に思いついても書き始めると「なんか違う」と思うことが多々あるので…。
思いついている内にとスタートダッシュしていますが、継続できるように頑張りたいと思います。

また遊びに来てください!!

ぞうはな | URL | 2012/10/10 (Wed) 23:27 [編集]