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絶望と切望と(後編) 【メロキュンプレゼンツ!! 《ハッピー♡プレゼント!!》】


あううう…
メロとキュンが…少ない……

えぇっとぜひ、消化不良はこちらでご解消ください!

期間限定!メロキュン♡リターンズ☆蓮誕&VDお祭り会場

さてあの、後編でございますー。





「その方は、来月結婚されるんです」

"結婚"という単語を聞いた蓮の頭は一瞬沸騰しそうになったが、ふと言葉を頭で反芻して思い直した。

『結婚される』?随分と他人事のような…

蓮の葛藤に気づかずキョーコは話を続ける。
「そのお相手が…女優の田町さんなんです」

思いっきり安堵のため息をつきそうになり、蓮はなんとか飲み込んだ。しかし事態を理解した蓮の顔に疑問が浮かぶ。
『田町』という女優は確かに自分も知っている。そして、その人物がすでに一般人の男性と結婚していると先月公にしたことも。

「ちょっと待って。田町さんは確かもう結婚していたよね」
蓮は混乱した頭を整理するように確認した。
「はい。入籍はもう半年くらい前に済まされていて…それで、来月身内と親しい方だけをお招きして披露宴をされるそうなんです」
「ああ、なるほど…披露宴が来月ってことか」
「そうなんです。だけど結婚報告の時にお相手の素性を探ろうと報道が過熱してしまって…」

蓮も覚えている。
件の女優は人気も高く、過去に他の芸能人との熱愛報道も数回出ていたため、結婚がかなり時間がたってからの事後報告だった事、一般人である結婚相手の素性を明かさなかった事でマスコミが相手の事を探ろうとかなり強引な取材をしていたのだ。
「それで、もうマスコミには一切知らせずに披露宴をしようとされているんです」
「その事情は分かったんだけど、それでどうして最上さんがその結婚相手の写真を持っているの?」

蓮の気分はかなり落ち着いていたがまだ不明な点の方が多い。
キョーコがウエディング情報誌を持っていたのはきっと田町の披露宴に関連しているのだろうが、その理由が分からなかった。

「ええと…私今、田町さんとドラマで共演してるんですけど」
「ああ、そうだったね」
「その…田町さんに披露宴で使うものの制作をお願いされてしまって」
「使うものって…ああ、このリングピローみたいな?」
「はい。それでその、色々と作ってるんです」

そういうことか、と蓮は納得した。
どういう経緯か分からないが、キョーコが手先が器用で裁縫が得意な事を田町に知られたのだろう。業者に依頼するとどこから情報が漏れるか分かったものではない。それでキョーコに白羽の矢が立った。
しかし納得したところで写真の男性が目に入ってくる。
「でも…それとこの写真を最上さんが持っている事がつながらない気がするんだけど」

うう、とキョーコは言葉に詰まった。
うまく切り抜けたと思ったのにやっぱり指摘されてしまった、という顔だ。まだ隠している事があるのかと蓮はため息をつく。
「どういうことか説明してくれるよね?」
蓮に笑顔でダメ押しされてだんまりを通せるキョーコではない。キョーコは蓮の表情を伺いながら大きな紙袋に手を突っ込み、何かをつかみだした。
「これの…ためです」

キョーコが差し出したのは白いタキシードをまとった人形。受け取ってまじまじと眺めると、人形の顔は写真で見た男性にそっくりだ。
「これは……?」
「披露宴で2人の人形を飾りたいって田町さんが仰って…これが私に依頼されたメインの仕事なんです」
非常によく出来ている人形を手に蓮は絶句した。
しかし、これによく似た出来の物を自分は過去に目にした気がする。そうだ、あれは1年とちょっと前。キョーコがマリアの誕生日プレゼントとして渡した…。

「これは最上さんがマリアちゃんに渡した俺の人形と同じように見えるんだけど」
「う…!あの、その、ご明察です…」
「どういうこと?あの場には田町さんはいなかったよね。なんで最上さんがこういう人形を作れるって田町さんは知ってるの?」

はふ、とキョーコが喘ぐ。
気のせいか、キョーコのおでこには汗が浮かんでいるようだ。あちこちへと落ち着きなく視線をさまよわせたキョーコはしぼむかと思うほどの息を一気に吐き出して、今度は普段持ち運んでいるカバンの方へ手を突っ込んだ。

「これを田町さんにうっかり見られちゃったんです…」
キョーコの手の中にあるのは、マリアに渡したものよりもだいぶ小さい、自分の人形だった。サイズは小さいがその精密さはマリアへのプレゼントと変わらない。そして驚いた事に、その人形が着ている衣装は今出演しているドラマの蓮の衣装そのものだ。

蓮は改めて混乱した。
「え?見られたって…どういうこと?これ持ち歩いてる…のか?」
「も、申し訳ございませんーーーーーー!」
いきなりキョーコはがばりと身を投げ出して土下座する。慌てた蓮がキョーコを起こしてなだめ、ようやくキョーコは落ち着いて座り、事情をぽそぽそと説明したのだった。

「なるほど…これを楽屋で持ってたところに田町さんが来たのか」
「すみません…私、敦賀さんのお誕生日にどんなものをお贈りしたらいいのか迷ってて…敦賀さん人形に聞いてみてたんです。敦賀さんの気持ちになったら分かるかなあと」
「そんなことしてたのか…」
ぼそっと呟いた蓮に、真っ赤な顔でキョーコは必死に弁解する。
「いえあの!普段はその、弱気になったり演技で迷ったりする時に勇気をいただくために持っていて…!」
「ああそれはいいんだ。それにしても田町さんは驚いただろうね」
「はい…すごくびっくりされたんですけど……でも感心してくださって、それで人形やアイテムを依頼されたんです」
「はあ…そういうことだったのか……」
ウエディングドレスやタキシードを見に行ったのは田町の披露宴に飾る人形のためだったのだ。きっと作るからには限りなく本物に近付けようと思ったのだろう。一度やると決めた事はとことんまで追求するキョーコらしい。

それにしても…

「その人形、いつも持ち歩いてくれてるの?」
「い…いつもと言いますか…ええっと……そうですね、大抵は…」
「わざわざ衣装替えまでして?この服、最近作ったんだよね」
「はい…!その、とてもお似合いだと思ったのでつい…」
「そうか。そこまで手をかけて持っていてくれるのは嬉しいな」
にこりと蓮に微笑まれてキョーコの顔の赤みがさらに増す。

「それに…俺の誕生日も覚えててくれたんだ」
「あ、当たり前です!今年は間に合わないなんて不義理な事は…!」
キョーコの言葉を聞いて、ふと思いついたように蓮は口を開いた。
「ねえ、図々しいけどプレゼントをリクエストしてもいいかな?」
「え、何か欲しいものがおありですか?もちろん、私が用意できるものでしたら何でも!」
キョーコは思わず身を乗り出した。
「うん、誕生日に間に合わなかったらそれでも構わないから、しっかりと作ってほしいんだ」
「私が作るもの?…なんですか?」

蓮は机に置かれた自分の人形を持ちあげた。
「これと同じスケールの、最上さんの人形」
「…は?」
「衣装は、今もそのカバンの中に持ってるだろう、雑誌の中から一番気に入ったウエディングドレスで」
「え……」
キョーコはぴきんとフリーズした。まずリクエストの意図が全く読めない。それに、なぜ自分がウエディング雑誌を持ち歩いているということを…?

「そうしたら、最上さんになかなか会えない時でもミニ最上さんに毎日会えるよね」
「な…そんな…?」
「君が小さい俺を毎日持ち歩いてくれてるんだ。俺がそれをしたって悪い事はないだろう?」
「ひ…?」
キョーコは蓮の言動を自分に対するいじめか嫌がらせだと認識したようだ。一気に血の気が引いて恐怖の表情で自分を見ているのが分かる。
「意地悪でも嫌がらせでもなくてね…本当は俺は毎日だって君に会いたい。顔を見たいし声も聞きたい。でもそれは現実的に難しいから、これは最大限の譲歩だと思ってもらっていいんだけど」
「譲歩……と…仰いましても…。でもあの、ドレスというのは…」
「うん?ああ、それはほら、未来のその姿を想像したら、幸せな気分になれるよね。そういうことだよ」
「ちょ、ちょっとあの…何の…?」
「そうそう、君の持っている俺の人形用にタキシードも作ってくれると嬉しいな。そうしたら近い将来披露宴で使えるね」
「へぇ…?」
混乱のあまりキョーコの返答がおかしくなる。しかし蓮は全くお構いなしだ。

「当然、披露宴をやるとなったらドレスはその時改めて決めるし、なんならオーダーメイドで作ってもいい。でも人形自体は使えるよね」
「あの…敦賀さん??」
叫ぶように蓮の話を遮ったキョーコの顎を、ついと蓮の指先が捉えた。

「君がこそこそと何かやっていて…それがどうやら『結婚』に関係しそうだって予想しただけで…俺はおかしくなりそうだった」
「は……?」
「だいぶ勘違いしてたみたいで今日は安心したけど、これから先もそれで済むとも思えない」
「ちょっと待ってください、勘違いって何の話ですか?」
「君が誰か他の男と結婚するってことになったら、もらった君の人形は君に返すよ」
「はあ?いやでも私は結婚なんて」
「だけどそんなことにはさせない。俺の目標は君の持つ俺の人形と、俺の持つ君の人形が、そのうち同じ家に置かれるようになる事だ」
蓮の指はするりとキョーコの頬に移動した。手のひら全体で頬を包み込み、慈しむようにやさしく撫でる。
「決めた。俺は目標を達成するためにもう回り道はしない。正々堂々と真っ直ぐに挑む事にした」

キョーコはまだ頭が真っ白で思考も動きも止まったままだ。
蓮はもう一度念を押すようにキョーコに話しかけた。
「君が君の人形を俺にプレゼントしてくれたら、君が俺の目標達成を後押ししてくれてるものだと俺は考えるよ。けど、プレゼントのリクエストに応えないってことは無しにして欲しいな。君が俺の人形を大事に持ち歩いてくれるってことは、そう言う事だと思ってるからね」

分かった?とにっこりと聞かれて思わずキョーコは頷く。
蓮は満足げに微笑むとキョーコの頭をそっとなでてから部屋を後にした。


キョーコが半分怯えながら、半分訳も分からず自分の人形を作ってリクエスト通り蓮にプレゼントしてしまったとか、受け取った蓮に夜の帝王で迫られて腰が引けたとか、そんなことは些細な事。
なぜなら数年後、蓮の目標は達成されて、無事にその望み通り2人の人形は並んで飾られることになったのだから…。


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コメントコメント


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わぁぁぁぁ!!

蓮様からのおねだりはキョーコちゃんのウエディング姿の人形?!
それはもう受け取ったら容赦しないでしょうね!!(笑)
他の人との結婚話かとおもっててプッツンキレちゃった蓮様、とっても面白かったですー!!
ありがとうございます!!

風月 | URL | 2014/02/13 (Thu) 07:34 [編集]


キョコさん

真っ白になったまま、人形作って渡して、夜の帝王への謁見に挑んだ(?)のですね!

結婚が誤解と蓮さんに早めに理解してもらえてヨカッタです。(笑)

蓮さんの不安な気持ちと、行き過ぎた妄想力(?)がメロキュンでした!

魔人sei | URL | 2014/02/13 (Thu) 20:52 [編集]


うほほほ~~い

すみません、遅れてやってきてこんなふざけたタイトルとなってしまい申し訳ございません。
でもこれはピコの心の声です♪
一気読みをして、最初はキョーコちゃん、蓮さんのプレゼントを隠しているのかしら?と思っていたら、どんどん雲行きは怪しくなり、後編で一気に畳み掛けるように告白飛ばしてプロポーズ!
最高です(((o(*゚▽゚*)o)))
素敵なメロキュンを読ませて頂きありがとうございます。

ピコ | URL | 2014/02/13 (Thu) 23:27 [編集]


Re: わぁぁぁぁ!!

> 風月様

コメントありがとうございます!
メロキュン、盛り上がってますね!!

蓮さんぷっつん来た勢いで怒涛の攻めを見せてしまいました。
いやでもなんだろう、怖い蓮さんが降臨しただけのような…
お粗末さまでございましたー!

ぞうはな | URL | 2014/02/14 (Fri) 00:11 [編集]


Re: キョコさん

> 魔人sei様

コメントありがとうございますー!

キョコさん、すっかり蓮さんの思うがままに踊らされてしまいました。
でもほら、まったく意に反している訳でもないしいいですよね。

なにやら「メロキュン」の枠からはみ出る大ファールで申し訳ありませんー!

ぞうはな | URL | 2014/02/14 (Fri) 00:13 [編集]


Re: うほほほ~~い

> ピコ様

コメントありがとうございます!
そして素敵企画にお声がけいただいて本当にありがとうございましたー!

ほんと、告白もせずプロポーズしちゃってますね。
切羽詰まると何をしでかすか分からないのはもしかしたらキョコさんより蓮さん…?
なにやら甘くもなくずばずばと怯えさせる蓮さんが降臨してしまいまして申し訳ありませんでした…。

ぞうはな | URL | 2014/02/14 (Fri) 00:15 [編集]


勘違い蓮さんは悶々とした分、キョコさんが持ち歩く自分の人形を見て決壊しちゃったんですねー。
ストレートに追い詰める蓮さんと、追い詰められる恐怖で内容をちゃんと理解してないキョコさんw
キョコさん人形はきっと本人の困惑を反映して微妙な表情なんだろうなと妄想して、意地か悪い像な蓮さん人形と妙に釣り合ったツーショットになりそう!(ただし幸せスマイルフェイスそえつけタイプは装着済み!)とか一人で妄想してにやにやさせていただきました!

霜月さうら | URL | 2014/02/14 (Fri) 15:39 [編集]


Re: タイトルなし

> 霜月さうら様

コメントありがとうございますー!
そうなのです、張り詰めていたものがホッとした分逆流してキョコさんを壁際に追い詰めるような感じになりました。
キョコさんはその悶々を知らないのできっと恐ろしかった事でしょう…。

蓮さんにもキョコさん人形を前にして1人妄想劇を繰り広げてもらいたいところですが、きっとあのお人はまったく表面に出さずに脳内だけで展開するんだろうなーと思ったり思わなかったり。

ぞうはな | URL | 2014/02/14 (Fri) 17:10 [編集]