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まどろみから覚めて(3)


こんばんは!ぞうはなです。

次の更新は来週、と言ってたんですけど…
ダンナがインフルエンザになりまして。
週末の予定がそれに伴ってキャンセルとなりまして。

書く時間が少し取れたので、せっかくなので更新する事にしましたー。
ということで、続きでございますー。






「なんなの、キョーコ。どうしたの?あんた、敦賀さんと会ったことあるの?」

「えええ?蓮、どういうことだ?」

うろたえた2組の視線を向けられて、蓮も戸惑いながらキョーコを見る。
「いやあの、最上…さん?何か電車で……」

言いかけて途中で蓮は言葉を止めた。口元に手をやってキョーコを見ながら考え、呟くように言葉を発する。
「…もしかして今朝のことかな?」
「今朝だけではないんです。先日も…」
「ああ、思い出した。そうか、この間のも君だったか」
「本当に申し訳ありませんでした!」

合点がいって笑顔になる蓮と、顔をやや赤らめながらひたすら頭を下げ続けるキョーコ。置いてきぼりにされた残り2人は口々に抗議した。
「なんだよ、説明しろよ蓮」
「どういうことなのキョーコ」

「いいよ、そんなに謝ることじゃないから顔上げて。ほら、社さんも琴南さんも不思議がってるよ」
「はい…」
ようやく顔を上げたキョーコは困ったような顔でまだ頬を赤くしたままぽそぽそと説明を始めた。


「寝ちゃった?」
呆れたように奏江が確認する。キョーコが頷いたのを見ると更に呆れの色は強くなった。
「何でそれでそこまで謝るの」
「だって…熟睡してよっかかっちゃってて…」
「別に、電車で寝ちゃって隣に倒れちゃうなんてよくある光景じゃない」
「でも…同じ人に2回だなんて失礼じゃない」

会話を聞いた社が声を上げて笑う。
「真面目だねえ最上さんは。いいんだよ、おじさんじゃ嫌だけど女の子がよっかかってくれたらむしろ嬉しいもんだから」
「社さん、それ受け取りようによってはセクハラです」
すぐさま奏江に指摘されて社は「えええっ」と驚く。

蓮も軽く笑ってキョーコを宥めた。
「本当、気にしなくていいよ。でもよかった。気持ちよさそうに寝てたからなるべく起こさないように、て思ったんだけど同じ駅で降りなくちゃいけなかったんだね」
「はい…でも2回ともすぐには気がつかなかったので、敦賀さんが同じ会社の方だなんて考えもしませんでした」
「そうだね、俺も全然気がつかなかったな」
ふわりと笑う蓮の笑顔はどこか眩しい。先ほどまでは気がつかなかったが、会話のために少し距離が縮まれば電車で感じたいい香りがまたふわりと漂ってくる気がする。

「でもよく2回とも敦賀さんだって気がついたわね」
奏江が感心したようにキョーコに聞いた。
「あ、うん…顔は見なかったけどいい香りがしたし、脚が長くてびっくりしたし」
「ああ…顔見てたらもっと印象づいてたかもしれないけどね」
「それはそうかもしれないけど…」
「それにしたってキョーコ。あんた、夜だけじゃなくて昼寝も出来ないんじゃなかったっけ?」
「うん。そうよ」
「なのに電車では寝ちゃうの?」
「い、いや!いつもじゃないの、たまたまなのよ」
キョーコ自身もびっくりしたのだ。電車の中で短い時間とはいえ寝入ってしまった事に。それに、いつでも電車で眠りこんで隣に迷惑をかけるようなはしたない女と思われるのも少し辛い。

「何、最上さん寝られてないの?」
2人の会話を聞いていた社がキョーコに尋ねた。

「あ…いえあの、最近ちょっと寝つきが悪くて」
「寝つきが悪いってレベルじゃないでしょ、そう言うのは不眠って言うのよ。そんながっつりクマ作って」
「えっ?見える?」
「隠してるのは分かるわよ」

またもや会話は奏江とキョーコの間に戻るが、社は再び口をはさんだ。
「じゃあさ、体動かしてみるってのはどうかな?」

「は…い?」
キョーコはきょとんとした顔で社を見た。奏江はまたか、というややうんざりとした表情になる。
「うちの会社でテニスサークルやってるんだけどさ。初心者大歓迎、今部員募集中なんだ。練習は週一だけど、軽く体動かすと眠れるようになるかもしれないよ」
「はあ…」
確かに最近体を動かしてないな、とキョーコは思った。通勤と仕事だけの毎日では運動不足にもなるだろう。直接の不眠の原因ではないが、多少の効果は見込めそうだと納得する。

「最上さんはテニスやった事ある?」
「体育の授業でしか…」
短大にもテニスのサークルはあったが、キョーコは授業とバイトで忙しくてそういうものには一切所属していなかった。
「それは軟式の方かな?うちのサークルは硬式なんだ。琴波さんは経験者だと言うから誘ってるんだけどなかなか来てくれなくて。2人一緒にどう?」
「でも本当に初心者ですし何も道具も持ってませんし」
「大丈夫大丈夫。ラケットは貸し出し用のがあるし靴は最初は普通のスニーカーで平気だよ!1回さ、見学に来てみない?」
話はすっかりキョーコの不眠話からテニスサークルの勧誘へと移っているが、キョーコは逆らうことなく素直に飲み込まれていた。

「モー子さんは…入るの?」
「……」
奏江は黙って社の話を聞いていたが、キョーコに問われてもやや険しい顔で黙っている。しばらくしてようやく口を開いた。
「あんたがやりたいっていうなら付き合ってもいいけど……でも毎週は出られませんよ?」
最後は社の顔を見て念を押す。社も笑顔でうんうんと頷いた。
「全然平気だよ!別に部活みたいに厳しい活動じゃないし。都合のつく時に好きな人だけ集まれればいいっていう緩い感じなんだ。とりあえず参加してみて面白かったら続ける、ていうのでも構わないよ」

なんとなく戸惑っているようなキョーコに、社は追い打ちをかけるように言いつのる。
「実はね、こいつもサークルの一員なんだ。結構うまいからさ、コーチもできるよ」

社さん…と渋い顔で言いかけた蓮の目に、少し驚いたような怯えるようなキョーコの表情が飛び込んできた。
社に誘われてサークルに在籍してはいるものの、自分をダシにして他の人を勧誘するようなことをしないでほしいと釘をさしているのだ。しかし、社が説得に熱を入れ過ぎてつい蓮のことを口にしてしまったのを窘めようとしたら、なんだか蓮の存在はキョーコにとっては逆効果だったようで軽くショックを受ける。

「あれ?最上さん、こいつがいるのは嫌?」
社もキョーコの表情の変化に気がついて思わずそこを追及してしまう。
「い、いえ!違います嫌なんじゃなくて!ご、ご迷惑おかけした敦賀さんに更にお手数をおかけするのはと思ってしまって!」
「それは気にしなくていいよ。俺以外にも教えるの好きなメンバーもいるし」
複雑な気分で蓮はキョーコに答えた。

「じゃああの…まず見学だけ…」

結局、キョーコと奏江は社の熱心な勧誘に負け、テニスサークルの練習に顔を出すことになってしまったのだった。


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コメントコメント


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蓮様がテニス!!

いやー!絶対かっこいい!!(笑)
また素敵なパラレルが始まりましたね!!

キョーコちゃんの不眠の原因が気になってしょうがないです!(←最初蓮絡みかと思ってたのでその予想が外れてなになに?なんなの?という状態)

続き楽しみにしてますー!!

風月 | URL | 2014/02/02 (Sun) 00:16 [編集]


うっとり

すてきなお話が幕開けていたのですね。
タイトルといい、お話の展開といい、うっとりしてしまいます。
心安らぎながら、お話を堪能できるのは幸せですね。テニスサークルの蓮さん、どんなかしら?またサークルの他のメンバーも楽しみにしています。

moka | URL | 2014/02/02 (Sun) 17:07 [編集]


Re: 蓮様がテニス!!

> 風月様

ありがとうございますー。
爽やかスポーツ、蓮さんに似合う気がするのですー。無駄にキラキラー!

キョコさんが眠れない理由、それはさほど秘密でもないのですがその内解明されますのでぜひお付き合いくださいませー。

ぞうはな | URL | 2014/02/03 (Mon) 22:13 [編集]


Re: うっとり

> moka様

うっとりしていただけましたかー。ありがとうございます!
今回は2人にゆっくりのんびりはぐくんでもらおうともくろんでおります。
しかしスキビの登場人物皆様を一般人にするとありえないほど美男美女ぞろいに…!

ぞうはな | URL | 2014/02/03 (Mon) 22:15 [編集]