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対決!(前編)

こんばんは!

ちょっと思い付きで書き始めたらとっちらかっています。
フリー作品上げたかったのですが、ちょっと納得のいく話が書けるまで保留させてください…




「バラエティになかなか出ていただけないって聞いていたので、いやーー、嬉しいですよ!」

満面の笑みでへこへことお辞儀をしながら話すプロデューサーは、自分の子供ほどの年の相手にへりくだる事を全く気にしていないようだ。

「ああ…まあ、たまにはいいかと思いまして…新曲の宣伝もしてもらえるんすよね?」
「もちろんです!全面的に推しますからね」

昼下がりのテレビ局の一室。スタジオと違ってシンプルな白い会議室では、不破尚とそのマネージャー、バラエティ番組のプロデューサーが打ち合わせを行っていた。

「けど、敦賀さんもよく受けてくれましたね」
「ああ、あちらさんは一応仮決めってことだけどね。多分大丈夫だろうと思うんだけど…次クールのドラマの宣伝時期なので、かなりスケジュールとってもらってるんですよ。この時期は情報番組、トーク番組なんかにも顔出してもらえるので」
へえ、と愛想笑いを浮かべた尚はちらりとマネージャーの祥子を見やった。

「それで、企画の内容は?先日本当にラフなものをざっと伺いはしましたが、尚はミュージシャンなのであまりにバラエティ色の強いものは…」
祥子が無言の要請を受けて本題に触れる。
「まあ、バラエティと言っても芸人がやるような無茶な真似はしません。ミニゲーム的なものをいくつか考えているんですよ。いや、不破さんも敦賀さんも運動神経がいいって聞いてるので、視聴者にそれが分かるようなものとかね」
プロデューサーは手元の資料に目をやりながら答えた。それを引き取って尚が尋ねる。
「こっちからその内容を提案するってのはありですかね?」
「ええっ?提案していただけるんですか?いやもちろん、前向きに検討させていただきますよ」
「そりゃよかった」
尚は最大限の営業用スマイルでにこやかに笑い、いつになく上機嫌で提案の内容を話し始めた。


そして、撮影当日。
ゲストを呼び、トークを中心に様々な企画を行うこの人気バラエティ番組では、人気お笑いタレントとキョーコがコンビを組んで司会進行を行っている。様々なゲストが毎週登場するだけでなく、この司会コンビの絶妙なやり取りも人気の要因だ。

しかし、オープニングでのゲスト紹介の収録を終えたキョーコは、カットがかかると無意識に深いため息をついてしまった。怪訝そうな顔で司会として組んでいる山形がキョーコを覗き込んでくる。

「どーしたの、京子ちゃん。いつも元気なのに今日はため息なんて」
「あっ!いえ、すみません、なんでもないです!!!」

セットの中ではスタッフたちが次のコーナーの準備にばたばたと動き回り、ゲスト出演者はその様子を見守りながらセットの外で待っている。スタッフや共演者たち、そしてさほど多くない観客達は気づいていないが、ゲスト2人の間に流れるピリピリとした雰囲気を、キョーコは敏感に感じてしまっていた。


ショータローと敦賀さんを一緒にゲストで呼ぼうって考えたのはいったい誰なのよ!しかも自分の番組だなんて…!


キョーコは心の中で思いっきり呪ったが、この状況を変えることは最早不可能だ。2人が競い合って勝敗を決めると言うこの後のコーナーの進行をしなければならないということに、キョーコは再びこっそりとため息をついたのだった。


「さっそく参りましょう、いい男同士のバトル!」
「まず最初は、スポーツで勝負していただきましょう!」
「「何枚抜けるか!ストラックアウト対決~~~!!」」

キョーコと山形は息を合わせてタイトルコールを行った。
ゲストの蓮と尚の少し先には、1から9までの数字が書かれたパネルがはめ込まれた的が置かれている。野球ボールを投げて抜いたパネルの枚数を競うと言うおなじみのゲームだ。
「先攻は不破さんです!さあ、何枚抜けるか、よろしくお願いします!」
キョーコがやけっぱちで元気良く叫んだ。

山崎の吹く笛の音を聞いて、尚がゆっくりとボールを手に取る。
尚には勝算があった。うまくプロデューサーを誘導して、自分が有利であろうジャンルを対決種目に入れさせたのだ。球技に関しては、すかしている色男には負けないだろうとちらりと蓮の方を見た。

自信を持ってリラックスして臨んだのが功を奏したのか、尚は次々と的を落とし、残り球2つに対してパネルは左下の1枚を残すのみだ。
「全球当てるつもりだったんだけどな」
余裕の笑みをこぼした尚は、見事1球を残して最後の1枚のパネルにボールを当てた。観客からも黄色い悲鳴と歓声が飛び出し、尚は手を振ってそれに応えながらさり気なく蓮に微笑んで見せた。

尚の軽い挑発に気づいたキョーコはびくびくしながら蓮を見るが、蓮は穏やかな笑顔で尚に拍手を送っている。
「敦賀君、どう?プレッシャー大丈夫?」
山形の問いかけにも笑顔で答える。
「そうですね…ここまでされちゃうと、どうしましょうか」
「言葉の割にはなんだか落ち着いているね」
「うーん、やってみないとなんとも言えないですね」

言いながら蓮は着ていたジャケットを脱いだ。ジャケットの下はぴったりとした白いTシャツで、現れたたくましい腕に観客から「おおおお」というどよめきが起こる。

蓮はどよめきも気にせず位置についた。
「敦賀さん、何番狙いますか?」
「じゃあまず3番、ですね」
キョーコの質問に笑顔で答えると、蓮は鋭い腕の振りでボールを投げた。蓮の予告通り、ボールは3番パネルのど真ん中を射抜く。

観客から再び歓声が沸き立ったが、蓮がボールを投げるごとにスタジオは静かになっていった。
それもそうだろう。再度狙いを聞いたキョーコに、蓮は「じゃあ、7と8」と答え、その宣言通りに2枚抜きを果たした、だけにとどまらなかったのだ。なんと7球で真ん中のパネル以外全てをパーフェクトにしとめてしまった。

「敦賀君…君本当に役者だよね。実は昔プロ野球選手だったとか?」
「昔って言うほど年取ってないつもりですけどね」
山形の呆れたような軽口に応じると、蓮は真ん中のパネルを剛速球で抜き、見事この勝負の勝者となった。

「ミュージシャン対俳優の勝負とは思えないハイレベルさだね、これ」
「お2人とも違う人生送れたかもしれませんよね」
山形とキョーコのしみじみとしたやり取りに、蓮は苦笑し尚はあからさまに不服そうな目線を送る。

「さあ、どんどん行きますよ!」
「お次は、演技対決~~~」

次は蓮が俳優ということで、演技対決となった。とはいえそこはバラエティ番組のゲームだ。
並んで椅子に座った2人の前には、饅頭が2つずつ置かれる。饅頭には「A」「B」という札がつけられていた。

「2つのお饅頭の内、1つは"激まず"餡になってます~!」
「さあ、審査員はレギュラー陣の皆さんですよ!どちらの饅頭がまずいのか悟られないよう、美味しそうにお召し上がりくださいー!」
「でもさあ京子ちゃん、まずいくらいじゃばれないんじゃない?」
「そう思います?山形さん」
「だって辛いとかだったらともかくさあ…」
「そう仰ると思いまして、山形さんの分も用意させていただきましたー!番組のスタッフをなめたら痛い目見ますよー!」
じゃじゃん、とキョーコが1つの饅頭を取り出す。
「え…俺?」
「はいどうぞ!さあ審査員の皆さんも、山形さんのリアクションを参考になさってください!」

まじまじと手に取った饅頭を眺めてから、山形は饅頭を丸ごと口に放り込む。2、3回咀嚼して…目をむくと口を押さえてうずくまった。声にならない叫びを上げる山形は用意されたバケツに口の中のものを吐き出し、ようやく司会に復帰する。

「無理…無理だ、あれ」
「味はすごいですが、体にはいいものだそうですよ。では、敦賀さんお願いします!」
ぶつぶつと呟く山形をきれいにスルーして、キョーコは先攻の蓮を促した。進行はきっちりやるが、山形のリアクションにキョーコ自身もかなり動揺している。人気絶頂の俳優とミュージシャンに、悶絶するほどまずいものを食べさせていいのだろうか。

蓮はAの皿の饅頭を手に取ると、ゆっくりと口に入れた。うんうん、と頷きながら味わい、ごくんと飲み込む。そしてさほど間をおかずにBの饅頭も口にすると、全く変わらない表情で同じように味わい、「ごちそうさまでした」と笑顔になった。

見事に悟らせない蓮の様子に、スタジオ内はざわつく。
「もしかして敦賀君の皿と不破君の皿が入れ替わっちゃったんじゃないのお?」
疑い深い目で山形がいうと、蓮が笑顔で答える。
「いえいえ、片方はものすごい味でしたよ。こんなの食べた事ありません」

それは次の尚の番に証明された。
饅頭を口に入れた尚が、抑えようも無く顔をゆがめて後ろを向いてしまったのだ。結局、尚の方は全員に当てられ、蓮は回答がばらけたためにこの勝負も蓮の勝ちとなった。

「さすが役者さん、本当にすごい!」
「これは敦賀さんに有利な対決だったかもしれませんね」
「でも次は不破君のジャンル!カラオケ対決だ!」

次の勝負は尚がミュージシャンだから、という単純な理由でのカラオケの採点対決だ。番組レギュラーの女性歌手の歌を2人が歌ってカラオケ機械が採点する点数で競う。

尚はさすがに全員を唸らせる歌唱力を発揮、97点という高得点をたたき出した。対する蓮は、「歌っているのを聞いた事がない」と皆に言われつつ、十分にうまい味のある歌声を披露し、90点と点数的には負けたものの皆を感心させ、勝負の主導権を握ったまま最終対決種目へと進んだのだった。





なんか良く分からないけど後編に続きます~~
ああ、ところで尚が球技得意ってのは坊とのバトミントン対決のあたりからの勝手な想像でございます!

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