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ぴぴぴのぴ



最上キョーコは撮影スタジオの中、壁際に立っていた。
斜め前方、5mくらい先には事務所の先輩俳優である敦賀蓮がいる。
二人はともに撮影準備中のセットの方を向いていたため、キョーコのところから見えるのは蓮の背中と頭、横顔の一部だけだった。

今日はスタジオ入りした時もう敦賀さんの隣に人がいたからな…

キョーコは共演女優と話していた蓮に挨拶だけして、少し離れたところに陣取ったのだ。
斜め後ろから見る蓮は笑顔で女優と話している。

なんか、楽しそうにしてるなー…

キョーコはふと、先日何かで見かけたテレビ番組を思い出していた。
超能力者だと名乗る人が、スタジオの人たちの考えていることを読む、ということをやっていた。

テレパスだっけ?
今敦賀さんが考えていることが分かったら…

キョーコはそこまで思ったが、逆に自分の考えていることを読まれたら、と考えてしまった。

それはあまりに恥ずかしいからいやだわ!!!
でも、じゃあ逆に、テレパシーが送れたら…

つらつらとくだらないことを考えていたら、蓮と話していた女優がスタッフに呼ばれて離れていった。

よし!
敦賀さん、こっち向け、こっち向け、こっち向け…

蓮の横顔を見つめながら念じていたら、急に蓮がくるりと振り返ってこちらを見た。

きゃーっ!
わわわ、びっくりした!!

キョーコが目をまん丸に見開いて思わず蓮の顔を見つめてしまったためか、蓮は一瞬びっくりした顔をしたが、ニヤッと笑うと、手を上げてちょいちょいと手招きをした。
キョーコはどぎまぎしながら呼ばれるままに蓮の横に行く。

「なんでしょうか、敦賀さん?」
キョーコがおどおどと上目遣いに見上げると、蓮はにっこりと笑った。
「今、俺のこと呼んだでしょ?」
うええ??と変な声を上げるキョーコ。
「よ、呼んでませんよ?」

おかしいなあ、と蓮は首をかしげてそのまま目線をキョーコに流す。

「なんか、頭の中に直接、ぴぴっと感じたよ?最上さんが俺を呼ぶ声が聞こえた気がするんだけど?」

まさか、この人本物のテレパシストですか???
いや、そんな訳ないわ、きっと私が見てたの気がついてたんだ!!

「気のせいですよ、敦賀さん」
キョーコは平静を装って流したつもりだったけど、目が泳いでしまった。
「そうかな?」
蓮の顔は笑っている。

ダメ、目を合わせたら心を読まれちゃう!!

必死に目をそらしていたら、突然ふんわりと、全身が温かい何かに包まれた。

「ひゃーっ!!何するんですか、敦賀さん!!!」
「え、今テレパシーで ハグしてって言っただろ?」
「言ってませーーーん!!ぎゃーーーーー!敦賀さん、顔近いです!!!」
「今、キスしてって」
「いうわけないでしょーーーー!!!!これは単なるセクハラですーーーーー!!!!」

スタジオ内は今日ものどかだ。

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そいでスタッフにも
「敦賀君と京子ちゃんってほんと仲いいね」
「やさしいお兄ちゃんと可愛い妹って感じ」
とかほのぼのに受け取られちゃって蓮がっかり、みたいな

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