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パステルヒロイン


こんばんは!
一応昨日のお話とつながってはいますが…
自分で言うのもなんですが、ますます訳が分からない。

こういう時は多少いじくってもどうにもならないので、えいやで載せてしまいましょう。

えいや!







真っ暗闇の中、1人佇む。
周りは見渡す限りの黒々とした闇だ。…いや、違う。よくみるとその闇は赤く染まっている。

『リック!!リック!!!』

女性の悲痛な叫び声が耳にこびりつく。ああ、そうだ、あれはティナの声。

『人殺し!!』

これは、夢だ。
これは、いつもの夢だ。


夢だと分かっているが、がんじがらめに囚われてこの場所から動く事ができない。堂々巡りの問いに答えは出ない。
俺は、リックの代わりに死ぬべきだったのか。
どうすれば償いになるのか。何をすれば俺の罪は消えるのか。いや、一生背負って生きていく事がさだめなのか。

闇は冷たい。体の熱が全て奪われていく。
いっそこのまま、闇に溶けて消えてしまえれば、楽なんだろうか。

上も下も分からないほどの深い闇にどれだけ漂っていただろうか。
耳にはずっとティナの叫び声が繰り返し聞こえている気がする。


しびれて感覚がなくなっていた指の先に、ふと、何かが触れたような気がしてのろのろと頭を動かした。
闇に染まっていたはずの右手が、光り輝いている。いや、光っているのは自分の手ではなく、そこに触れている温かいものだ。誰かが自分の手を取っている。

これは以前にも…

冷たく冷え切って停滞した頭で考えてみるが、その間にも光はどんどんと体を包んでいって、いまや右半身が闇から抜け出している。自分の体温が感じられる。体が動く気がする。

以前にも、こんなことがあった。動けなくなった自分を、闇から救ってくれたのは…

頭がはっきりしてくると、ふと疑問が湧いた。

以前に救われたときは、白い光だった気がする。今は…これは、この光は…ピンク色?

そう思った瞬間、視界が一面カラフルな光に包まれた。パステルカラーの光の玉がふわふわと飛び交い、スポットライトのような白い光の筋があちらこちらで動き回っている。
今まで見えなかった、自分の手を握っている人物が、目の前に現れる。それは、想像していた人物だった。
けれど、なんだ??


はっきりと意識を取り戻した蓮の前に立っていたのは、予想通り、キョーコだった。
以前蓮が覚醒したときに目の前にいたキョーコは、ナツの格好をしていた。だが今は。

キョーコの髪は腰まで伸び、なぜかその色は黄色だ。金髪ではない、原色の黄色。髪はいくつかの束に結ばれ、重力を無視するかのように綺麗なカーブを描いてふわふわと揺れている。
服は、見慣れたショッキングピンクだが、つなぎではない。胸元に大きなリボンのついた…ワンピース?ピンク、白、黄色の、目にやさしくない配色のコスチュームにキョーコは身を包んでいる。マイクロミニ丈の裾は張りを持って膨らみ、そのすらりとした脚は服と同デザインのロングブーツが覆っている。
蓮の手を握っている両手には、これまた同じ配色のロンググローブがはめられているが、グローブは手の甲だけ包むデザインで、その指先のぬくもりは直に蓮の体へと伝わってきていた。

呆然とたたずむ蓮に向かって、キョーコはにっこりと微笑んだ。
「大丈夫ですか?」
いつも聞くキョーコの声だが、いつもより発声に張りがある。
「あ、ああ…ありがとう」
事情は全く分からないが、動けないところを救ってもらったのは確かなので、蓮はキョーコに礼を言った。

「いいえ!これが私の仕事ですから!でも、あんな闇に囚われるなんて…あぶないところでしたよ?」
キョーコは眉間に皺を寄せて蓮を見ている。
「あれは…おれ自身の闇だ……仕方が…ないよ」
蓮は諦めるように呟いた。夢の中でなら、普段は笑顔の下に隠している素直な心情も吐露できてしまう、そんな気分だった。

キョーコは蓮の呟きに驚いた表情になったが、やがて厳しい顔でキッと蓮を見つめた。
「あんなのを抱えていたら、潰されてしまいますよ!私が、浄化して差し上げます!」
「え?」
思わず蓮は聞き返す。キョーコはいたって真面目に言葉を継いだ。
「私の力では完全に闇を取り払う事はできませんが…あなたが自ら抜け出すお手伝いはできるかもしれません。さ、座ってください!」

蓮は促されるままそこに腰を下ろして胡坐をかく。とりあえず成り行きに任せて、この夢がどうなるのか見てみよう、とどこかで思っていた。胡坐をかいて座った蓮の右横にくっつくような形でキョーコは膝をつくと、おもむろに両手を蓮の首に回し、その頭を力強く自分の胸に抱きしめた。

わっ!ちょ、ちょっと…?

さすがに蓮は慌てるが、キョーコの力は思ったより強く、びくともしない。蓮の顔にはキョーコのコスチュームについたリボンが押し付けられる形となったが、リボンの向こう側に更に心地よい弾力が感じられた。

いいのかな…?

蓮はなにやら微妙な罪悪感を感じたが、向こうが始めたことだし、ととりあえず大人しくする。
キョーコは蓮の頭を抱きしめたままぶつぶつと何かを呟いていたが、やがて二人の周りを眩しい光が包み始めた。蓮の体に染み込んで来るその光は、確かに蓮の中のどろどろと渦巻く黒い何かを、だいぶ小さくしてくれる気がした。

どれくらい時間が経ったか。
キョーコがそっと蓮の頭を離すと、二人は至近距離で見つめあう。キョーコの瞳の中に映る自分が金髪であることに、蓮は気がついた。キョーコがそれに対して違和感を感じている様子は無い。夢ならではだな、と蓮はすんなり納得した。

「…ありがとう……なんだかすごく、楽になったよ」
「ほんとですか?よかった!」
キョーコは嬉しそうににっこりと笑う。しかしすぐにまた表情を引き締めると、蓮をたしなめるように言った。
「完全になくなったわけじゃないですからね、まだ気をつけてください。…そうだ!今度囚われても抜け出せるように、おまじないしておきましょう!」
「おまじない?」
蓮が言い終わる前に、キョーコは右手で蓮の前髪を上げると、左手で蓮の頬をつつんだ。そして、蓮のおでこにその唇をつける。少し経って、「っちゅ」という小さい音とともにキョーコの唇がおでこから離れていった。
再び至近距離に戻ったキョーコがふわっと笑う。

蓮は思わず手を伸ばそうとして……いきなり夢から覚めた。


何だ…今の夢は?

蓮はしばらくベッドの中で仰向けのまま、つい今まで見ていた夢を反芻する。

最上さんから夢の話を聞いたから…影響されたのか?
それにしても……完全に、俺が守られる側だったな…

蓮は窓の外が明るいのを見て、のっそりとベッドから起き上がった。闇に囚われる夢を見るときは大体、目覚めたときの気分は最低なのだが、今朝は奇天烈なおまけがついたせいかさほど悪くない。
起きる予定だった時刻の15分前だったため、そのまま起きようとバスルームへ向かう。洗面所の鏡には、黒髪の自分の姿が映っていた。

大体、最上さんが俺の元の姿を見て動揺しないわけも無いし、あの格好はなんだったんだ…
俺の願望ってわけでもないな、あれは?

ふと夢の内容を思い出して何気なく前髪をかきあげて…蓮はぎょっとした。おでこの真ん中、ちょうど夢でキョーコの唇が当たった辺りが薄っすらと赤くなっている。昨夜入浴時にはこんなものはなかったはずだ。思わずこすってみたが、何かがついているわけではないらしく、こすっても落ちる事は無かった。
瞬時に思い出されるのはキョーコの首筋についた赤い痕。

まさか…偶然だろう?

きっと、起きる直前まで突っ伏して寝ていたのだろうと結論付け、蓮は頭を振って妙な考えを振り払うと冷たいシャワーを浴びにバスルームへと入っていった。


同じ朝。
キョーコは妙にパッチリと目が覚めた。直前まで夢を見ていたような気がするが、その内容は全く覚えていない。
キョーコは特に気にすることなく普段どおりに起き出して、布団をたたみ、着替えようとパジャマのボタンに手をかける。すると、胸元のボタンに引っかかっている何かが手の甲をくすぐっているのに気がつき、ふと目線を下げた。

ボタンに絡まっていたのは、金色の髪の毛。
キョーコは不思議に思いながらそれを指でつまみあげた。

なんで金髪?

さほど長くないそれは、キョーコの髪かもしれないが、見事に金色でキラキラと光っている。思わずキョーコは自分の頭に手を当てた。

もしかして、白髪になりかかってるのがあったのかしら?
やだ、まだ十代なのに!!

キョーコはつまんだ金色の髪の毛をゴミ箱へと捨て、着替えを続行したのだった。


2人の夢は神の気まぐれ?それとも天使のいたずらか。
しかし部分的に正夢であり、お互いが守り守られる唯一の存在になることに気づくのは…ちょっとだけ先のお話。





いやほら、ウィザードの後はプリキュアじゃん?

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