SkipSkip Box

ナツが出てくりゃキョーコひっこむ

こんばんは!
連休家族サービス中のぞうはなです。
出先でPCがないので「社外恋愛」は少しお休みさせていただいて、本日はラブコラボ研究所のお題第8弾
『新春!!蓮キョ☆メロキュンカルタ大会!!』に参加した短編です。

カルタの「な」をいただいたものになります~。
ううん、メロキュンではないけど…どうぞ~



男の頬に少女の指がそっと触れた。男が少し怪訝な表情を浮かべると、少女の口の端がふっとつりあがり、指は首を辿ってゆっくりと男の鎖骨の辺りまで下りていく。
少女の頭は男の肩へ近づき、男の顔を見据えたままだったその瞳は男の香りを確かめるかのように細められた。
急に色香を増した少女の表情にからめとられた男は思わず腕を上げたが、その途端少女は男の肩を軽く突き放して体を離し、するりと腕をかわす。
呆気に取られた男を少し離れたところから見つめるその顔は女王のような気品と色気を湛えていて―――


カーーット!!


監督の声に、スタジオの時間が動き出した。少女はもう一度意味ありげに男に向かって微笑むと、軽く頭を下げてセットから下りる。
男は何かを振り払うように頭を振ると、のろのろとセットを後にした。

少女の向かった先には長身の俳優とそのマネージャー。
俳優は優雅に微笑んで少女を迎えたが、マネージャーは困惑の表情を浮かべていた。
「お疲れ様、ナツ。なんだか楽しそうだね」
俳優が少女に声をかけた。少女は笑みを深めて背中を俳優の体にピタリと寄せる。
「ふふ、そう見えました?だって、その気にさせてから突き放すって、監督の指示ですもん…」
「3人の男に対して違う振り方して見せるなんて、君は随分と罪作りな人だね」
「先輩だって、お芝居だったらこっぴどく女を振ることもするでしょ?あ、もしかしたらプライベートでだって?」
俳優はあきれたように両手を広げると、ため息をついてみせた。
「芝居ならやるけどね。君みたいに心から楽しんだりはしないよ?」

いーーやーーー!!誰この二人!!

二人の会話を聞いていたマネージャーは、心の中で悲鳴をあげていた。
男性用ボディシャンプーのCM撮影で蓮がキョーコと共演となって、喜んだり担当俳優をからかったりしていたのは、確かにマネージャーである社だった。

しかし蓋を開けてみれば、キョーコの役は男を惑わせ突き放す女。蓮はそんな女を香りで落とす男。
素の自分では勝負にならないと悟ったのか、キョーコは監督からの「ナツのイメージで悪女度倍増くらい」というリクエストに乗って、スタジオ入りした時点から既にナツを憑けてきたのだ。
社はキョーコのいつもとのギャップにただひたすら驚いたのに、蓮はすぐに自分も役を纏うと、お互いに駆け引きを楽しむ男女、という構図が瞬く間に出来上がってしまった。

監督がイメージ以上だって喜んじゃったからなあ…やめさせる訳にもいかないし…

フラれ役のイケメン芸人たちが本気でナツに落とされているのを社も感じていただけに、なおさら蓮の行動を止めることは不可能だと、社は諦めのため息を吐き出した。


蓮は自分に半ばもたれて立つキョーコの頭を見下ろしていた。

ナツなら、どんな台詞をはいても逃げていったりしないのにな…

蓮が自分の気持ちを伝えて口説きたいのはキョーコだ。ナツもキョーコが纏う役なので本質はキョーコであることは間違いないのだが、やはりキョーコ本人に聞いて欲しいし、キョーコの言葉が聞きたい。
試しに蓮は隣に立つキョーコの肩をぎゅっと抱いて、その髪に囁きかけてみた。
「ねえ、キョーコは俺に落ちてくれないの?」

途端にキョーコの肩がびくりと震えると、耳が真っ赤になるのが目にはいった。
「な、な、何でここでその名前を呼ぶんですか~」
「ん?だってナツは俺との駆け引きを楽しんでくれてるのに…最上さんは逃げたいのかなって少し残念でね」
「楽しんでって、お芝居じゃないですか!!」

二人は揃って呼ばれたため、会話はそこで中断した。

一面黒でおおわれたセットには、上半身裸でジーンズを履いた蓮とベアトップのミニドレスを纏ったナツが立つ。
触れるか触れないかの絡み合いは直接的なラブシーンより余程濃厚で、撮影を見守っているフラれ役の芸人たちもごくりと唾を呑み込んで見守っていた。
蓮の首もとに顔をもたれたナツは、やがて恍惚の表情で蓮を見上げる。満足気に微笑んだ蓮がナツのおでこに唇をよせ、撮影は無事一発OKで終了となった。

楽屋に戻り、椅子に座ってがっくりとうなだれる蓮を社が不思議そうに見守る。
「あんなにキョーコちゃんと絡むシーンだったのに、何でそんなに落ち込んでるんだ?」
蓮は頭を上げるとため息をついた。
「シーン中、音は拾わないから少し会話してたんですけど…」
「ああ、何か話してたな、聞こえなかったけど」
「ナツが憑いちゃうと最上さんは隠れちゃうんですよ。別人を口説いてる気分でした」

そういうことか、と社は合点した。
そうでなければ平然と、むしろ積極的に誘うように蓮と絡むなんてキョーコには無理だろう。でも、何を囁いてもそれはナツが受け取ってしまってキョーコには届かない。

もどかしすぎて凹んでたのか…
可哀想だけどこればかりはなんともなあ…

ある意味、ナツよりずっと蓮にとっては性質が悪いかもしれない。前途多難だな…、と社は蓮の項垂れた姿を同情の目で見ていたのだった。

けれど二人は知らない。
ナツの中の人はちゃんと蓮の言葉を受け止めて、内心で爆発しそうなほど照れていたことを。自分の気持ちをナツの口から語らせていたことを。

楽屋で1人、転げ回って悶絶するキョーコの姿は誰にも見られることはなかった。

関連記事

PageTop
 

コメントコメント


管理者にだけ表示を許可する
 

ふふw

ナッちゃんを隠れ蓑に、なんとか楽屋まで逃げ帰ることに成功したキョコさんw。お仕事完遂できてヨカッタですね。

っていうか、蓮さんたら、悪い先輩ですね。この仕事中に素に戻ったら、キョコさん困っちゃうのにw(爆)

魔人sei | URL | 2013/01/12 (Sat) 22:03 [編集]


Re: ふふw

> 魔人sei様

コメントありがとうございます!
出先でケータイのブラウザが言うこと聞かず、返信が遅くなりまして申し訳ありません…。

> っていうか、蓮さんたら、悪い先輩ですね。この仕事中に素に戻ったら、キョコさん困っちゃうのにw(爆)

蓮さん、しっかりはっきりとキョコさんの名前は出さず、けどしつこくギリギリのラインで迫ったと思われます。
万が一 素に戻ってNGになってももう1回絡めるし…なんて心の底で思ってたり・・

ぞうはな | URL | 2013/01/14 (Mon) 23:31 [編集]