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まぶしいヒカリ (後編)


こんばんは!

蓮キョ☆メロキュン推進!「ラブコラボ研究所」のお題 もの 後編です。

繰り返しますが、この度のお題は…

メロキュン企画第7弾!
テーマお題 「キョコ誕★極甘限界チャレンジ!」


えーっと。自分では甘さにチャレンジしたつもりなのに、出来上がったものは一般的に考えて「微糖」かと。
まだまだ修行が必要なようです。
それでも良い方は、どうぞ~~





キョーコは半ばぼーっとした頭で、助手席のシートにもたれて外を眺めている。発進する際に蓮から、一言断りを入れられていた。
「さっき、少しだったら、と言ってたけど、ちょっとだけ遠出したいんだ。いいかな?」
もちろん車に乗ってしまっているキョーコはシートベルトを締めながら了承するしかなかった。蓮の宣言どおり、車は間もなく高速道路の入り口に入り、今は空いている高速を快適に飛ばしている。

特に蓮が何か言ったわけでもなく、車に乗る頃にはキョーコのセンサーも蓮の怒りを察知できなくなっていた。しかし、なにやら妙な緊張感があり、車内は私語禁止状態のようになっている。時折蓮が今日の撮影の様子などをぽつりぽつりと聞いてくるが、蓮自身、どこか上の空の様子で会話が弾むわけでもなく、キョーコは少し戸惑いを感じていた。

車は1時間も経たない内にどこかの施設の駐車場へと停車した。東京から少し離れた場所で、周りには数少ない民家があるのみ、しかも夜もかなり遅い時間にもかかわらず、駐車場にはたくさんの車が停まっている。キョーコは今いる場所がどこなのか不思議に思いながらも、さっとドアを開けてくれた蓮に促されるまま外へ出た。駐車場からも少し離れたところが明るいのは見て取れたが、1つの建物の角を曲がってようやく明るさの元が見えて、キョーコは「わあっ」と声を上げた。

広い敷地の中にはいくつかの建物が点在しているのだが、その通路や広場となっているところが色とりどりのイルミネーションで埋め尽くされている。奥の方へ進んでいく道は光のトンネルになっていて、たくさんの人たちがその中を楽しそうに歩いていた。キョーコと蓮も周りに倣って光で彩られたオブジェを見ながら光のトンネルを進み、やがて中央にツリーが立てられた広場へと到達した。

「うわーー、このツリーも綺麗ですね!」
「そうだね。かなり大きいのに全体が電飾だらけだ」
「この広場も通路も広いのに、ものすごい数ですよねぇ…」
「ほんとに、まぶしいくらいだね。このイルミネーション、年明けまではずっと見られるらしいよ」
「そうなんですか~~。そっか、クリスマスだけじゃもったいないですもんね!」
キョーコが笑顔で蓮を見上げると、イルミネーションに照らし出されて輝いている笑顔の蓮とばっちり目が合ってしまった。急のことでびっくりして、失礼にならないようゆっくりと顔を伏せて目を逸らす。

ただでさえ神々笑顔は眩しすぎるのに、光が眩しいのかなんなのか分からなくなっちゃう!!

ややパニック気味でドキドキする心臓をなんとかなだめていると、蓮が周りをきょろきょろ見回してから声をかけてきた。
「少し、座ろうか?」
キョーコが顔を上げて蓮が示した方向を見ると、そこにはツリーを鑑賞するためなのか、いくつもベンチが設置されていた。ベンチの周りにも電飾で出来たトナカイやサンタが配置されて賑やかだ。蓮はキョーコの背中にそっと大きい手を当てると、空いているベンチへと進んだ。キョーコが腰を下ろしている間に「少し待ってて」と言い残して姿を消すと程無く戻ってきて、キョーコに暖かいミルクティーの缶を渡した。
二人は並んで座って缶を開ける。蓮の手にはブラックコーヒーの缶が収まっていて、キョーコはそんな些細な蓮の気遣いにもなんとなく気持ちがふんわりと嬉しくなるのを感じた。

キラキラ光るイルミネーションをうっとりと眺めながらキョーコがミルクティーを口に運んでいると、蓮が手元を見つめたまま、右手の親指で手の中の缶をこすりながら話し始めた。
「今日は…突然だったのに付き合ってくれてありがとう」
キョーコは口の中の紅茶を慌てて飲み込むと返事をする。
「いえ!そんな、お礼を言われることでは」
「本当は、昨日、約束しておきたかったんだけど…俺の仕事が何時に終わるか読めなくて。なんとかなりそうだったから慌てて終えて来たんだ」
キョーコはほけっと蓮の横顔を見つめてしまった。それから、段々とその顔に恥ずかしそうな笑みが浮かぶ。
「そうだったんですか?…でも、こんなきれいなところに連れてきてくださってありがとうございます!」
「…山崎君にも誘われていたみたいだけど、強引に連れてきちゃって大丈夫だったかな」
「山崎さんは、私が自分の誕生日なのにまっすぐ帰ると言ったので、同情してくださっただけですよ!」
蓮はちらりとキョーコの顔を見るとまた目線を戻してふーっとため息をついた。
「同情で誘ってた訳ではなさそうだったけどね…」
「そんなことないですよ!敦賀さんがいらっしゃった時は送ってくださるって言ってただけで…」
「それは男の常套句なんだよ」
「え?」
「車に乗せちゃえば、ある程度強引にでもできるだろう?二人きりの密室なんだし」
「まさか、そんな……でも!敦賀さんにご指導いただいていたので、送ってもらうのもお断りしていたんです!誤解を招くようなことは避けるべし、ですよね」

キョーコが蓮を見ると、蓮の顔には少し意地悪な笑みが浮かんでいた。
「じゃあ、俺はいいの?」
「えっ?だって、敦賀さんは…誤解なんてしないですよね」
「なんで?…俺だって、他の男に誘われてる女の子が自分を選んでくれて、車に乗ってくれたら…誤解するよ?いや、誤解と言うか、期待…するかな」
キョーコはびっくりすると同時に、もう抱いてはダメだと、何度も自分を戒めていた『期待する』気持ちがまた湧き上がってくるのを感じた。こんな気持ちを簡単に呼び起こしてしまう蓮の事を少し恨めしく思い、平静を取り繕うためにもわざと怒ったように言葉を返した。
「そんなことおっしゃるんでしたら、私だって誕生日にこんなきれいなところに連れてきてもらったら、誤解しますよ?」
蓮はじっとキョーコを見つめる。キョーコはその瞳に射すくめられて、思わず息をのんだ。
「誤解…?誤解じゃないよ?俺は…そういうつもりで、君をここに連れてきた」

「そういうつもり…って…?」
紅茶を飲んでいるのにキョーコは喉が渇いているような気分になった。短距離走をしてきたかのように心臓がどきどきと速いリズムで打っている。心が、何かを勝手に期待してしまって、打ち消そうとしてももうそれは叶いそうになかった。
蓮はキョーコを見つめたまま答える。
「最上さん。俺は、君が好きなんだ。もう、誤魔化しがきかないくらいに。君が、俺に誘われて、期待してくれたら、すごく嬉しいんだけど」
「な……冗談、ですよね?だってまさか…!」
蓮は堰を切ったように早口で言葉を紡いだ。
「冗談なんかじゃない。冗談でそんなこと、言えないよ。この気持ちを抱いてからずっと、君には伝えないで心に秘めておこうと思っていた。君を想う、それだけでいいと思っていたのに。君が俺の事をただの先輩だと思っているのは分かっていたのに」
蓮は一度言葉を切って肺の中の息を吐き出した。
「たまに君が見せてくれる微笑みとか…君が俺を見つめる眼差しに、どうしても期待してしまうんだ。傍で君を見守るだけのつもりだったのに、他の男に笑いかける君の姿を見て、冷静ではいられなかった」
キョーコは思わず口に手を当てていた。

敦賀さんも…私と同じ……だったの?

「それは…私です」
蓮がキョーコの言葉に顔を上げると、キョーコの目には涙が溜まっていた。
「敦賀さんの事を好きになってしまって…でも、そんな気持ち、迷惑だろうと思って…ばれないように心の奥にしまっておこうと思ったのに!」
蓮はキョーコの頬に手を伸ばした。慈しむようにそっとその手の平で包み込む。それから、この上なく優しい笑顔をキョーコに向けた。

神々笑顔!!しかも、過去最高出力!!!

キョーコは思わず目をそらしそうになったが、その目がいつもの神々笑顔よりも熱くキョーコを見つめているため、そらすこともできない。その上、頬をそっとなでられて、キョーコの顔はゆでダコのようになっていた。

「嬉しいな。君も、同じだったの?じゃあ、俺の気持ちに、返事をくれる?俺は…最上さんの事が好きで好きでしょうがないんだけど、最上さんは?」
「…今さら!聞くまでもないじゃないですか」
「ううん。ちゃんと、聞かせて…その口から聞きたい」
「私だって…敦賀さんの事、好きです。…もうごまかせないくらい大好きです!」
言い終わった瞬間、キョーコの体は力強く引き寄せられていた。あっという間に目の前が暗くなって、顔が硬くて温かいものに押し付けられる。一瞬の事でキョーコは(なにごと!!)とパニックになったが、つまりはその体は蓮に抱きすくめられていたのだ。

「ちょっ!!つ、敦賀さん??」
「ああもう…死んだら困るけど、死んでもいいくらい、嬉しい…」
「いや死んじゃ駄目です!っていうか、こんな人がいっぱいいるところで~~!」
「大丈夫。今、イルミネーション消えたから」

えっ。とキョーコが無理やり顔を上げると、確かに周囲は先ほどの明るさをなくしていた。そういえば少し前にアナウンスが聞こえていた気がする。夜らしい暗さが広がり、少ない照明の明かりが見えていた。
「だからもうちょっと…いいかな?」
蓮は腕をゆるめずにもう一度キョーコの頭を自分にもたれかかせると、キョーコの頭に顔をうずめて言った。
「この体勢でダメって…どうやって言うんですか?」
「うん…だから、いいよね。温かいし」
「もう………いいですよ」
最後の一言は呟くように言ったのだが、キョーコの頭にくっついていた蓮にはしっかり聞こえた。二人はくすくす笑いながら、そのまましばらく時を過ごしたのだった。

イルミネーションが消えてしばらくは出口が混むだろうと、二人はしばらくベンチに座っていた。周りには人もまばらだ。蓮はぴったりとキョーコにくっついて、その肩に腕をまわしている。会話は少なかったが、先ほどの車の中のような緊張感は微塵もなく、無言の間でもじんわりとしみる喜びが二人の心を占めていた。
(さっきまでは微妙に隙間があったのに…なんか、くっつきすぎじゃないかしら?)とキョーコは思うが、蓮と想いが通じた嬉しさの方が勝っている。ふと、急に先ほどの蓮の言葉が頭の中で再生されて、急にくすぐったい思いと恥ずかしい思いが湧いてきてしまった。見上げる蓮の顔は先ほどからずっと柔らかい笑みが浮かんでいて、見るたびに赤面してしまう。

「キョーコ、どうしたの?」
「な!!今なんて!」
「え?ダメ…かな?折角想いが通じたのに『最上さん』じゃ他人行儀過ぎて」
「う…た、他人の前じゃだめです」
「分かった。じゃあ、二人っきりの時だけにするよ」
「……あ、あの!イルミネーション、消えちゃうとちょっとさびしいですね!」
蓮の作る雰囲気に耐えきれず、キョーコは焦って話の内容を変えた。が、それは無駄な努力に終わった。

「そうだね…でも、俺にとってはキョーコの方がまぶしいから…他の光はいらないかな」
「なぁ、なんてことを…!」
「ほんとだよ。君はいつも、俺を闇の中から引き上げてくれるんだ。キョーコがいるから、俺は光を見失わない」
「闇…?私にとっては、敦賀さんこそまぶしい存在なんですよ!もう、そんな笑顔で見られると、まぶしくて目を開けていられません」
「そう?でも俺はずっとキョーコを見ていたいな。それに、キョーコには俺の事だけ見てほしい」
「うあ…恥ずかしいからダメですよ…」

蓮は少しいたずらっぽい顔でキョーコに笑いかける。
「なんで?……じゃあ、恥ずかしいならちょっと目を閉じてみて?」
「なんで笑いながら言ってるんですか?」
「いいからいいから」

なんか、たくらんでるみたいなんだけど…

思いながらも好奇心に負けて、キョーコはそっと目を閉じた。すると、唇に柔らかいものがふわりと触れる。え、と思う隙もなく一度離れたその感触がもう一度、今度は少し強めに感じられた。
キョーコがぱちりと目を開けると、すぐ目の前に蓮の瞳があった。

「今の…!」
「うん。素直に目を閉じてくれてありがとう」
「つ、敦賀さんが!!」
「だって、言葉だけじゃ通じないこともあるだろう?」
「敦賀さんの言葉は足りないどころか過剰なんです~~」
「いいんだ。言葉が足りなくて伝わらなくてもどかしい思いは、もういやだからね」

もう…本当に敦賀さんは……

そう思いながらも、キョーコは蓮の肩に頭を預けた。キョーコの肩に回した蓮の指に、少しだけ力が入る。
周りは暗かったが、二人の胸の中にはキラキラと、たくさんのまぶしい光が踊っていたのだった。

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