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まぶしいヒカリ (前編)


こんばんは!

今夜の更新は、

蓮キョ☆メロキュン推進!「ラブコラボ研究所」のお題 ものです~~。

身の程知らずにも、"メロキュン推進"なぞに参加させていただいてしまいました。
この度のお題は…

メロキュン企画第7弾!
テーマお題 「キョコ誕★極甘限界チャレンジ!」

極甘ですよ。限界ですよ。なんでこう、一番苦手なものを引っぱってくるんでしょうね、私。

甘いお話苦手なので、とりあえずネタはかなりベタなものにさせていただきました。おそらく他のマスター様が過去に書かれた話にかなりかぶっているとは思うのですが、ご容赦ください。

そして、前後編に分かれましたがさっそく前編は甘くなる前に終わっております。あああ…
(極甘だって言ってるのに成立前の話だから…もう~)






12月25日。
最近では、クリスマス本番はイブの夜という風潮のためか、もうクリスマスも終わり、という空気が流れる日でもある。最上キョーコは、目覚ましのアラームが鳴る5分前にぱっちりと目を覚ますと、布団から抜け出した。

「うう…今日も寒いわね…」
昨日の夜に見た天気予報によると、今日は1日いい天気らしい。どうせ撮影スタジオに缶詰になるので天気なんて関係ないのだが、誕生日に天気がいいのは気分的に悪いことではないかな、と気を取り直す。
布団をたたもうと立ち上がると、コタツの天板の上に目が留まった。
そこに置かれているのは、昨夜のパーティーで色々な人にもらった色々なプレゼント。キョーコはそれらを眺めると、昨夜のことを思い出してふっと笑顔になったが、花瓶に生けられたバラを見て思わずため息をこぼしてしまった。

昨夜は、前の年に比べればごく小規模な、それでもキョーコにとってはかなり豪華なマリア主催のパーティーが開催されていた。
キョーコは昨年同様主催を買って出るつもりだったのに、「今年はお姉さまは忙しいんですから、ご招待させてくださいませ!」とマリアに押し切られ、ゲストとして仕事終わりに駆けつける形になってしまった。もっとも、マリアの後ろにはイベント好きな足長おじさんが控えていたので、パーティー開催に当たって支障はなかったようだったが。

パーティーの途中で日が変わると、マリアはしっかりとキョーコの18歳の誕生日を祝ってくれた。パーティーに参加していた奏江も、また恥ずかしい思いをして買ったというキラキラコスメアイテムをキョーコにプレゼントしてくれたし、他の参加者も、お祝いの言葉やプレゼントをくれて、キョーコはとても嬉しい気持ちになった。

そして、当然のごとくマリアの招待を受けていた蓮も。
「綺麗に花開いてきた最上さんに、合うと思って」と、小振りなバラの花束をプレゼントしてくれた。
昨年の真っ赤な大輪のクイーンローザとは違って、今年はスモーキーピンクの可憐なバラで、受け取ったときはそれはそれは嬉しかったのだが。

パーティー終了後、蓮とキョーコはこんな会話をしていた。
「最上さんは、明日…いや、もう今日か。今日は1日仕事なの?」
「はい!1月からのドラマの撮影が終日入ってます」
「そうか…せっかくの誕生日だけど、しっかり頑張ってね」
「ありがとうございます!ひとつ大人になった最上キョーコ、気持ちを入れ替えて、頑張ってまいります!」
キョーコが元気に言い切ったのを見て、蓮は穏やかな微笑を浮かべていた。そして、そのまま二人は別れたのだった。

うっかり何か期待しかけたのが、ほんとに身の程知らずというか…

キョーコは昨晩の自分の心理状態を思い出して自嘲した。
キョーコの蓮への気持ちは育ちに育って…もう、胸にある箱に鍵をかける事は出来なくなっていた。尊敬の気持ちにすり替えようとしても、あのまぶしい笑顔を見ただけで心臓がドキドキしてしまったり、触れてしまった手がやけどをするかと思うほど熱く感じてしまうのは、どうにも誤魔化しようがない。

だから、キョーコは諦めた。
自分の、蓮への気持ちを認めることにしたのだ。その上で、この気持ちは決して外には出さない、という戒めを新たに自分に課した。蓮に対してはもちろん、他の誰に悟られることもなく、この胸に秘めておかなければいけない。そして、自分が蓮を想うことの見返りを、決して期待しない。

だって…敦賀さんは人から好かれるの慣れてるだろうけど…後輩からそんな目で見られても、困ると思うし…期待なんかしたって、かなう訳もないし。

それなのに、蓮に翌日の予定を聞かれて、キョーコの心臓はいとも簡単に跳ねてしまった。その分、そのまま何もなかったことに少し落胆したものだから、その後の自己嫌悪はものすごかった。分かっているのにままならない自分の感情。キョーコはもう一つため息をついたが、ふと時計を見ると慌てて布団を片付けて出かける準備をしたのだった。


その日のドラマ撮影は順調に進んだ。キョーコは主役ではないものの、物語の進行にも深く関わる重要な役のため、出番も多い。それでも、しっかりと役に入り込むことが出来て、NGもほとんどなかった。そして、スタッフからのバースデーケーキのサプライズプレゼントなどもあって、キョーコにとってはとても充実した1日となった。

撮影が終わると、時刻は21時前になっていた。
キョーコが楽屋で着替えを終えて玄関へ向かうと、自販機のコーナーでベンチに腰掛けていた男性がキョーコの姿を見て立ち上がった。共演者である俳優の山崎だ。
「お疲れ様、京子ちゃん」
「あ、お疲れ様です」
キョーコは立ち止まるとしっかりと頭を下げて挨拶をする。そのまま玄関に向かって再び歩き出したが、山崎もキョーコに並んで歩き出した。山崎は最近様々なドラマに出演している若手俳優で、その爽やかなルックスから世間の高感度も高い。現場でも気さくな人柄で、何かとキョーコに構ってくれて、よく雑談もする相手だったので、キョーコもさほど違和感は感じていなかった。

山崎はにこやかに話しかけてくる。
「京子ちゃんは、これで今日は仕事終わり?」
「はい」
「これから何か予定ある?」
「いえ、特には…」
「じゃあさ、ご飯でも食べに行かない?今日誕生日でしょ?俺、お祝いにおごるよ」

キョーコはにっこりと笑うと、礼儀正しく丁寧に返答した。
「ありがとうございます。お気持ちは嬉しいんですけど、明日も朝から仕事ですし、まだ台本もしっかり覚えてないので今日は真っ直ぐ帰ります」

ここ数ヶ月、名前が知られるに従って同様のお誘いを受けることが増えたキョーコは、先輩俳優の指導もあり、おどおどせずに断ることが出来るようになっていた。どうせ誕生日に一人で帰るという寂しい自分への同情だろう、と思っていたのもあった。しかし、山崎はそこで引き下がらない。

「そうか~、京子ちゃんは真面目だねえ。自分の誕生日くらい、遊びに行ったっていいのに」
曖昧に笑って流したキョーコに対して、じゃあ、と山崎は代替案を持ち出してきた。
「それなら、家まで送るよ!俺今日車で来てるし、マネージャーは事務所に戻っちゃったし。ね、それならいいでしょ?」
「そんな、とんでもない!そこまでお手数おかけできないです!まだ電車もありますし、本当にお気持ちだけで」
キョーコは慌てて辞退する。
「電車もあるって言っても、この時間だったら車の方が早いって。ここ、駅から少し遠いし」

キョーコが足を止めなかったため、二人は玄関ドアへと差し掛かっていた。このスタジオは駐車場が玄関の前側にあるため、駐車場が地下にあるようなテレビ局と違ってロビーで振り切ることが出来ない。キョーコは山崎の予想以上のしつこさに少し困りながらも断り続ける。
「いえ、ほんとに大丈夫ですから…」

玄関を出て正面の階段を下りたところで、山崎はキョーコの手首を軽く引いた。話しかけてからずっと笑顔のままだが、案外強引なところがあるようだ。
「そんなに遠慮しないでいいってば!車、そこに停めてあるからさ」
少し焦ってキョーコが腕を離そうとすると、薄暗い駐車場の方から足音が近づいてくるのに気がついた。人目があれば、強引な事は出来ないだろうと踏んで、少し大きめの声を出す。
「あの!本当に、電車で帰りますから、お気になさらず……腕を離していただけますか?」

山崎の方は足音に気づいていないのか、気づいているが気にしていないのか、一向に引く気配を見せなかった。礼儀正しいキョーコの性格につけこんだのか、少し戦法を変えてくる。
「京子ちゃん、実は俺のこと嫌い?そこまでかたくなに拒否られると、俺ちょっと傷ついちゃうなあ」
「いえっ。嫌いだなんてそんなこと!ただ、ご迷惑をおかけしたくないだけです」
「迷惑じゃないからさ。むしろ、京子ちゃんを送れるの、俺にとっては嬉しいんだから」

足音は真っ直ぐに二人の方に向かってきていた。二人がいる玄関前が明るくて、駐車場の方はよく見えなかったのだが、近づいてきた足音の方をちらりと見た山崎がギョッとした顔になる。それとほぼ同時に、足音の主から声がかかった。
「やあ、誰かと思ったら山崎君か。お疲れ様」

聞き覚えのありすぎる声にキョーコもがばりと声の方向を見た。そこに立っていたのは、20時間と少し前まで顔を合わせていた、長身の先輩俳優だった。蓮は、穏やかな笑みをその顔にたたえていたが、キョーコの目にはぷすぷすと刺さってくる何かが見えていた。

な、なんか…怒ってる?

キョーコは蓮の背後から感じる気配を察知して思わずつばを飲み込んだが、山崎は何も感じていないようだ。キョーコの手首からそっと手を離して、蓮に問いかけた。
「敦賀君?どうしたんだ、こんなところで」
山崎は本気で驚いていた。二人は年もほぼ同じで複数回共演しているため、顔見知りだった。ざっと考えてみるが、今蓮がこのテレビ局の番組に出演しているという話は聞かない。
「うん…最上さんにちょっと用があってね」
「最上さんって…」
「ああ、京子のこと」
芸名ではあるが、名前をそのまま呼ばれてキョーコの肩がピクリと震える。

「ふうん。京子ちゃんって苗字 最上って言うんだ」
「は、はい」
「下の名前はそのまま?」
「いえ、ちょーっとだけ違います」
「へー」
二人の会話が続いていきそうになったためか、蓮が再び遮るようにキラキラ笑顔で声をかける。
「山崎君は、今日最上さんと約束してるのかい?」
「いや…そういう訳ではないけど」
山崎は少し言い淀んだ。だが、蓮がそう聞くということは蓮自身もキョーコとの約束がある訳ではないようだ。ここでさらりと現れた蓮に獲物を掻っ攫われるのも面白くないし、格好悪いことこの上ない。そうそう簡単には引けなかった。
「ちょうど帰りが一緒になったから、送っていくって話をしてただけだよ」
表面上は穏やかに、山崎はキョーコに向かって笑顔で「ね」と同意を求めた。キョーコは「はあ…」と曖昧に返事をする。キョーコはなぜか、蓮と似たような波動を山崎からも感じてしまい、非常に落ち着かない心境に立たされていた。

蓮は山崎が少し挑戦的な態度を取ってきたことを敏感に察知し、話しかける相手を変えた。
「最上さんは、今日は仕事終わりだよね?」
「は、はい!」
「このあと、少し時間をもらえないかな?」
「今から、ですか?」
「うん…少し遅い時間で申し訳ないんだけど、昨日話そうと思ってて話せなかったことがあって」
蓮はさりげなく、昨日も二人が会っていた事をにおわせる。もちろん、山崎に対する牽制だ。それに対して、すかさず山崎が応酬する。
「京子ちゃんは明日早いからすぐに帰りたいらしいよ。俺も食事に誘ったけど振られちゃったからね」

キョーコは、蓮の笑顔の裏の隠された感情は敏感に察知するものの、男同士の牽制には全く気がついていなかった。ただただ、蓮の言葉に鼓動が速くなるのを感じる。
「お話って…なんでしょうか?」
「詳しい事はここではちょっと…あと、渡しそびれたものもあるんだ」

何だろう…

話…渡しそびれたもの…キョーコには思い当たることはない。
昨日、蓮からは誕生日プレゼントとしてバラの花束をもらった。それ以上のプレゼントがあるのだとすれば、そんなにたくさんもらうのは恐縮してしまうからご遠慮申し上げたい。でも。忙しいはずの蓮が、わざわざキョーコのいる撮影スタジオまで足を運んでくれている。蓮自身はここには用事などないはずなのに、自分のために?
キョーコの胸には期待と不安が混ざったような、不思議な気持ちが湧き上がっていた。その話と言うものを聞きたいような、聞きたくないような。しかし、先ほどからお誘いを断り続けている山崎も、そこで黙ってキョーコの様子を伺っている。

キョーコはどう返事をしたものかと困り、目の前の蓮の顔をちらりと見上げた。蓮は、いつもより真剣な、でもどこか不安げな顔でこちらを見ている。先ほどの口ぶりは普段どおりの落ち着いた先輩のものだったが、キョーコの返答を緊張して待っているようにも見えた。

まさかね…

次いでキョーコはそっと山崎の方を盗み見た。山崎は、少し不満げな顔で、キョーコではなく蓮の方を見ているようだ。しばらくキョーコは両手を自分の胸にぐっと押し付けるようにして無言で考えていたが、やがて口を開いた。
「分かりました。敦賀さん、少しだったら、大丈夫です。山崎さん、誘ってくださってありがとうございます。すみません、またの機会に、よろしくお願いいたします」

蓮はほうっと息を吐いて、少し笑顔になった。反対に山崎は呆れたように軽く首を振ると、キョーコに言った。
「あーあ。わかったよ。じゃあ、また撮影でね」
それから山崎はぐっとキョーコの顔に自分の顔を寄せると、ぼそりと呟く。
「今日は敦賀君に譲るけど…今度はちゃんと付き合ってね」
「あ、はい!」
キョーコは慌てて返事をすると、ぺこりと頭を下げた。山崎は蓮にも軽く手を上げて、「じゃあ」と足早に去っていく。二人はその後姿を黙って見送っていたが、やがて蓮が口を開いた。
「ありがとう、最上さん。突然でごめん。でもどうしても……ごめんね」

それからキョーコを助手席に乗せ、蓮の車は夜の街へと滑り出していった。

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